京都府警の鉄道警察隊長とポスターの工夫について話す学生たち(2021年9月、京都市東山区・京都女子大)

京都府警の鉄道警察隊長とポスターの工夫について話す学生たち(2021年9月、京都市東山区・京都女子大)

京都府警鉄道警察隊が京都駅の電光掲示板で表示していた啓発物。スカート姿の女性に触れようとする加害シーン描かれ、「被害者本人にできること」が強調されている(府警鉄警隊提供)

京都府警鉄道警察隊が京都駅の電光掲示板で表示していた啓発物。スカート姿の女性に触れようとする加害シーン描かれ、「被害者本人にできること」が強調されている(府警鉄警隊提供)

「泣き寝入りしないで」などと被害者に通報を呼びかける京都府警鉄道警察隊の啓発物(府警鉄警隊提供)

「泣き寝入りしないで」などと被害者に通報を呼びかける京都府警鉄道警察隊の啓発物(府警鉄警隊提供)

新しいポスターの内容などについて協議した学生たち(京都市東山区・京都女子大)

新しいポスターの内容などについて協議した学生たち(京都市東山区・京都女子大)

 痴漢や盗撮防止の啓発物に、丈の短いスカートの女性を描いたり、「泣き寝入りしないで」の標語を入れたりするのって、少し変じゃない? 京都女子大(京都市東山区)の学生たちが京都府警の発信の仕方に対し、「被害者を苦しめる描写が潜んでいる」と訴えた。府警はこの指摘を受け入れ、学生に協力をあおいで新たなポスターを作成した。思い込みを排し、学生が描いたポスターとは-。

■従来のポスター、どこが問題なのだろう

 昨秋、京女大の市川ひろみ教授(国際関係・平和研究)は、JR京都駅の電光掲示板を見て違和感を抱いた。痴漢防止を呼び掛ける内容で、短いスカート姿の女性が被害に遭うイラストや、「混雑する扉付近は避けましょう!」という標語が表示されていた。大学の授業で取り上げ、「『おかしい』と声を上げてみない?」と投げ掛けると、関心を持った女子学生9人が集まった。

 京都府警は昨年9月から、この図柄や標語を用いて電光掲示板やポスターで痴漢や盗撮防止を呼び掛けていた。でも、この内容のどこが問題なのだろう―。最初はどこに課題があるのかはっきりと分からなかった学生たちだが、何が引っ掛かる点なのか議論を重ねた。

■「気をつけなかった私が悪い」と思わせてしまうのでは

 例えば、短いスカート姿のイラストを描いた上で痴漢や盗撮への自衛を促す描写や、「泣き寝入りしないで」などの標語。学生たちは「『気をつけなかった私が悪い』と被害者を追い詰めるのでは」「標語は、性被害を訴えること自体が困難なことへの配慮に欠ける面がある」などの問題点を明確化させていった。

 大半の啓発物では、被害者として描かれるのが女性である点を疑問視する声も出た。府警によると、過去3年間に男性から複数の被害相談が寄せられている。学生は、「被害者は女性」との先入観が強調されて男性が相談しにくくなるかもしれないとも考えた。

■京都府警も「一緒に新しいポスターを作りたい」

 こうした点を昨年12月、府警鉄道警察隊に伝えた。すると同隊は「新たな視点のポスターを作りたい」と学生たちに打診し、今年5月に制作がスタートした。

 「正直痛いところを突かれた。でも、指摘はうれしかった」と振り返るのは、電光掲示板の内容を考えた女性警察官(30)。彼女も学生たちの活動に加わり、7回の話し合いを重ねて、新しいイラストや標語について意見を出し合った。