雨水を含んで斜面を流れ落ちた土砂が、今も西大津バイパス近江神宮ランプ(大津市高砂町)をふさいでいる。えぐられた山肌が災害の怖さを物語る。

 8月14日に発生した土砂崩れについて、大津市は今月、同ランプ西側の斜面に施された盛り土の崩落だったと発表した。斜面の頂上部は建設会社の所有地で、過去に建設残土を含む土砂が規定面積を超えて埋め立てられ、2017年度に市の指導で是正工事が行われていた。

 市は、崩落は工事不良でなく「異常な豪雨」のせいだったとみている。8月の滋賀県の降水量は多い所で平年の3倍に達した。それが原因なら、同じような崩落は地球温暖化で今後見込まれる豪雨の多発により、あちこちで起きる可能性がある。

 建設残土を盛った場所は、大津市や、7月に大規模土石流が起きた静岡県熱海市のほかにも全国にあるからだ。

 建設残土とは、建設工事で副次的に出る土砂で、18年度の発生量は2億9千万立方メートル。産業廃棄物ではないため、別の工事で使うなどの再利用が原則だ。

 ただ、海岸の埋め立てなどの大口需要は近年減りつつある。行き場のない土は主に残土処分場に持ち込まれるが、処分費を抑えようと、森林法や農地法の規制の及ばない土地に業者が仮置き、放置することが常態化している。地滑りや水質汚濁の発生で、残土の存在が表面化するのは一部に過ぎない。

 18年7月の西日本豪雨の際には、京都市伏見区の大岩山に投棄された残土が崩れ、民家のそばまで迫った。13年には大津市栗原の民間残土処分場の土砂が崩れ、川をせき止めて大量の水がたまり、市が行政代執行で防災措置をとった。14年には大阪府豊能町で山林に積まれた残土が車道に崩落し、半年近く通行止めが続いた。

 再利用を前提とする残土には、不適正処分などを取り締まる法律がない。このため京都府を含む26都府県が条例を定めて独自に対応しているが、基準はまちまちで、未制定の滋賀県など規制の緩い地域に残土が集まる実態がある。国によるルールの統一化と罰則強化が急務だ。

 行政がすべきことはそれだけではない。

 残土の年間発生量の8割は公共工事による。その処分先は発注自治体が確保するのが筋だ。

 ところが京都府など一部の自治体は、少量なら受注業者に処分先の選定を任せる例外規定を設けている。たとえ少量であっても、業者任せにしては不適正な処分はなくなるまい。

 公共工事では事前に処分地の確保を徹底すべきだ。加えて、指定場所に確実に処分されたかどうかを追跡、確認する必要がある。途中で投棄し、処分コストを浮かせるような悪質な業者は排除しなければならない。

 発注自治体側にも、工事設計を工夫するなどして残土の発生自体を抑える努力が欠かせない。発注者責任を明確にし、発生抑制から再利用、処分までを厳格に管理して、民間の工事に範を示してもらいたい。