京都市の行財政改革計画案に対する市民意見について「一つ一つに真剣に向き合い」と書かれている「市民しんぶん」

京都市の行財政改革計画案に対する市民意見について「一つ一つに真剣に向き合い」と書かれている「市民しんぶん」

 京都市が毎月発行している広報紙「市民しんぶん」9月号について、市に対して行財政改革計画案を見直すよう意見を寄せた市民から疑問の声が出ている。市民サービス削減の項目についてほとんど内容を変えずに同計画を策定したにもかかわらず「真剣に意見に向き合った」と発信しているためだ。

 9月号の表紙には「京都京一」という市職員が計画を記した紙を手にした劇画風の絵が描かれている。そして、「9千件ものご意見が寄せられた行財政改革計画案。それら一つ一つに真剣に向き合い、ついに…」とのセリフで、行革計画が完成したことを表している。

 市は、毎年の支出が収入を上回る状態を穴埋めするため、将来の借金返済に残しておくべき「公債償還基金」を取り崩して収支を合わせるという「禁じ手」を駆使してきた。しかし、同基金の枯渇が3年後に迫っていることから、市は今年6月、5年間で1600億円規模の財源捻出を図る行革計画案を示した。

 市民サービス関連では、保育料や学童クラブ利用料、高齢者向けの市バス・地下鉄のフリーパス券「敬老乗車証」の市民負担などについて値上げの方針を盛り込んだ。パブリックコメント(市民意見)を約1カ月募った結果、計9013件が集まり、市民サービス関連の意見は55%に当たる4981件を占めたが、計画内容は変更されなかった。

 少子化の今、子育て支援が後退することに危機感を持ち、保育料や学童クラブの値上げに反対する市民意見を出した上京区の女性(41)は9月号を読み「まるで計画を称賛しているようで市民感覚とのズレを感じた。これまでの財政への反省もなく、意見を受け止めてもらえたとは思えない」と厳しい。

 30代後半の市職員も「行財政改革を進めるのが前提となっており、『市民意見に向き合う』雰囲気は薄い。市民しんぶんの表現の言葉は建前では…」と身内からも疑問の声がある。

 最新の10月号では、行革計画に対して寄せられた市民の意見を紹介しているものの、意見を反映したかどうかには触れていない。市民しんぶんを担当する市長公室広報担当は9月号の表現について「各部署が個別の事業の検討を進めるにあたり、パブリックコメントを参考にするので、『真剣に向き合い』という表現を使っている」と説明している。