性別や年齢で不利に扱ったり、成績順でなく特定の受験生を合格させたりすることを禁じる―。文部科学省の有識者会議が、大学入試の公正を保つ共通ルールを盛り込んだ中間報告をまとめた。至極当然であり、今更との感を否めないが、一歩前進と受け止めたい。

 昨年に発覚した医学部入試を巡る不正を受け、文科省は全学部共通のルール作りを急いでいる。

 中間報告は、募集や出願、試験、合否判定、発表など各段階で求められる対応を列挙し、大学側の説明責任を強調している。

 例えば、合否判定時、性別や年齢、現役・浪人などの属性を理由とする差別を「不適切」と明記した。一連の入試不正で浮かび上がった差別的な扱いは他学部でも起きる恐れがあり、当然だろう。

 さらに出願手続きで保護者の氏名や職業などの情報を求めないことや、採点の際は解答用紙の氏名を隠して複数人で行う、といった具体例も示した。判定がばらつきやすい小論文や面接は、評価方法のマニュアル化を求める。

 地域枠や私学の同窓生子女枠など「特定枠」について、募集要項に合理的な説明や募集人員の明示を要求したのも透明性を高めるのに有効だ。丁寧な説明や厳格な運用を前提にしてこそ、受験生らもその妥当性を納得できよう。

 文科省は従来、入試に関する指針「大学入学者選抜実施要項」で「公正かつ妥当な方法」とだけ定め、選抜方法は各大学の裁量に委ねてきた。だが、今回は具体的に踏み込み、学生募集や合否判定を巡ってやってはいけない「禁止事項」を明示したのが目立つ。

 入試は本来、各大学の責任で自律的に実施されるのが前提であろう。また、多様な能力や資質を評価するには、制約は少ない方がいい。とはいえ一連の入試不正を振り返れば、大学任せでは改善が難しい。広く社会の理解を得られる公正な制度とするには最低限のルール化はやむを得まい。

 文科省は最終報告を待って、6月に示す指針に反映し、来年度の入試から適用する方針という。

 入試不正の根絶は大学自体の反省と自浄力なしに進まない。各大学は新たな共通ルールを踏まえて入試方法を点検し、疑念が生じないよう改善してほしい。誰もが納得する透明で公正な入試の実現こそが信頼回復への第一歩となる。

 入試の合否は受験生のその後の人生を左右しかねない。落ち度のない若者に理不尽な思いをさせることは、決して許されない。