消費税率が10%に引き上げられてから1カ月が経過した。

 5年半ぶりの引き上げで、初の「2桁税率」時代に入った。懸念された増税後の消費の落ち込みは、前回8%への引き上げ時ほどではないとの見方が多い。

 初導入された軽減税率やキャッシュレス決済へのポイント還元制度などの景気対策がある程度の下支えにつながっているようにみえる。

 ただ、複雑な仕組みへの対応や適用対象の品目、店舗によって影響に明暗が生じている。消費者全体に対策効果が行き渡っているとも言い難い。影響が固定化、長期化しないか、注意深く動向に目を配っていく必要があろう。

 今回の2%増税は、前回の3%より小幅でもあり、事前の駆け込み需要は全体的に控えめだった。

 増税後も軽減税率で8%に据え置かれた飲食料品は各店舗とも大きな落ち込みはみられていない。コンビニ各社は2%のポイント還元もてこに売り上げが堅調で、軽減税率の総菜類など「中食」が増えているという。

 一方、百貨店や家電量販店は前年同月比20%近い売り上げ減も聞かれる。直前に高額品購入が急増した反動減とみられるが、「想定より幅は小さい」との声が多い。

 スーパーも買いだめの反動のある日用品以外の影響は大きくないようだ。大手はポイント還元がないため客離れを防ぐ独自の値引きやセールで補っており、身を削った価格競争が激化している。納品業者らへのしわ寄せが懸念されるほか、消費者には増税分が見えにくくなっている。

 中小でも店舗差がみられる。ポイント還元への参加は開始時の約50万店から約64万店に増えても全対象の3割強にとどまる。申請中を含めると90万店を超えるが、審査手続きが遅れていることに「不公平」との不満が出ている。

 還元総額は1日平均10億円強と想定を上回る。政府は予算1786億円が枯渇しないよう上積みする方針という。だが、還元対象のキャッシュレス購入は高齢者や地方で普及が鈍く、世代や地域、購入額で恩恵が偏っている恐れが強い。

 また、プレミアム商品券は対象の低所得者の購入申請が低調で、京都市では4割程度だ。予算の3分の1は事務関連費であり、支援方法を見直すべきではないか。

 景気の急変を避ける目的から離れ、「大盤振る舞い」を続けるのでは増税自体の意義をかすませる。各分野で対策効果を見極め、絞り込む必要がある。