重厚感や生々しさ、写る人の人間性をも感じさせる湿板写真。データよりも実物を見ると迫力がある

重厚感や生々しさ、写る人の人間性をも感じさせる湿板写真。データよりも実物を見ると迫力がある

湿板写真の復活に取り組む本田さん(右)と小椋さん(左)。撮影には大判カメラを使用する=京都市北区・あかつき写房

湿板写真の復活に取り組む本田さん(右)と小椋さん(左)。撮影には大判カメラを使用する=京都市北区・あかつき写房

 坂本龍馬の肖像写真にも使われた幕末~明治初期の撮影技法「湿板写真」の復刻に、京都市北区の写真事務所「あかつき写房」が取り組んでいる。薬剤を塗布したガラス板に像を焼く手法で、重厚感や生々しさのある仕上がりが特長。労力や技を要するため、商業ベースでの取り組みは全国でも珍しい。13日開幕の京都国際写真祭で撮影体験会を開く。

 手掛けるのは同事務所の写真家本田優生さん(35)と小椋雄太さん(31)。データよりもモノとしての写真に強くこだわる中、究極の一点物とも言える湿板に着目。昨年から東京の専門家に師事し、試行錯誤を重ねて技術を蓄積してきた。

 機材は1860年代のレンズを付けた大判カメラ。まずは暗室で薬剤にガラス板を浸し、化学反応を起こして感光性のあるフィルムを作る。液が乾かないうちに撮影し、すぐさま現像工程に入る。

 シャッターは手動で、被写体は光の加減により2~20秒の完全静止が必要だ。気温や湿度の影響を受けやすく、何らかの要因で全く写らないことも。2人は温湿度調整のほか、手製の機材や古道具を使うなどの工夫を重ね、5月にも一般向けの撮影サービスを開始できる予定という。

 湿板写真は、より簡易なガラス乾板の出現で約100年前に自然消滅したが、近年は欧米で復刻の動きが広がっているという。ただコストや労力がネックで、国内で一般人が撮影できる場はほとんど無いのが現状だ。

 本田さんは「一点物を長く持ってもらうことを突き詰め、湿板にたどり着いた。写真好きな人が気軽に楽しんでくれたら」と話す。体験会は21、29日、5月5日に元淳風小(下京区)で。撮影のほか現像の見学や体験ができ、1組1万円。申し込みは同事務所075(494)2897。