優生保護法の強制不妊被害について講演する利光恵子さん。被害当事者を長年、支援してきた(3月31日、京都市中京区・立命館大朱雀キャンパス)

優生保護法の強制不妊被害について講演する利光恵子さん。被害当事者を長年、支援してきた(3月31日、京都市中京区・立命館大朱雀キャンパス)

 障害者らに不妊手術を強いた優生保護法(1948~96年)の問題で、国会に提出される被害者への一時金支給法案は、国による謝罪を明記しておらず、当事者や支援団体の要望と乖離(かいり)しているのが実情だ。立命館大生存学研究センター客員研究員の利光恵子さん(65)は「真の救済につながらない。拙速に成立させないでほしい」と改善を求めている。

 法案は被害者への反省とおわびを明記しているが、その主体は「われわれ」となっていて「国」ではない。利光さんは「被害者は口々に『国が責任を持って謝ってほしい』と言う。それが被害回復の第一歩だ」と指摘する。障害者らの基本的人権を侵害し、憲法違反と認めることも必要とした。

 一時金の320万円は、国家賠償請求訴訟の原告が求める金額には程遠い。利光さんは「被害者の健康被害や精神的な後遺症に見合わない」と憤る。法案では、一時金の支給対象は優生保護法による不妊手術の被害者などだが、96年の同法改正後も障害を理由にした断種が実在しており、「法改正後の被害や(優生条項に基づく)中絶も含めるべき」と訴える。

 一時金の受給には請求が必要だが、少数にとどまることを懸念する。「不妊手術を自覚していない人も多い。大半が救済されず絵に描いた餅になってしまう」。利光さんは、手術の記録が残る人には配慮をした上で、本人に通知することを提案。請求期限を5年に区切った点には救済対象を減らす意図を感じるといい、無期限にするよう主張した。

 5月28日には国賠訴訟の初めての判決が仙台地裁で出る。強制不妊手術の違憲性を認め、賠償額は320万円を上回る可能性がある。利光さんは「(法改正から)20年以上も放置してきて、あと1カ月をなぜ待てないのか」と疑問視する。法案が成立した後でも、判決内容を反映した法改正をするべきと訴えている。