岸田文雄自民党総裁が新たな首相に選出され、内閣をスタートさせた。

 1年余りで退陣した菅義偉政権の後継で、第100代首相となった。

 岸田氏は就任会見で、14日に衆院を解散、19日公示、31日投開票の総選挙を行うと表明した。総裁選に勝ち政権を立ち上げた勢いで衆院選の主導権を握りたいのだろう。

 新内閣も、総選挙を乗り切るための布陣といえる。全閣僚20人のうち13人が初入閣で、中堅・若手の抜てきも目を引く。顔ぶれの目新しさと「新時代共創内閣」との看板を掲げたが、政権運営の新たな方向性は明確には見えない。

 菅前政権は新型コロナウイルス対策で不手際が続いた上、国民への説明や議論を避ける姿勢が政治不信を招いた。安倍晋三・菅政権の8年9カ月で色濃くなった「1強政治」をどう総括し、何を変えるか。具体的な政策と行動で示していくことが求められよう。

 初入閣組は、新設した経済安全保障担当相の小林鷹之氏、デジタル相の牧島かれん氏ら衆院当選3回の3人をはじめ若手、中堅の積極的登用を印象付けた。女性は3人で、菅政権から1人増やした。

 外相、防衛相を再任させる一方、焦点のコロナ対策で厚生労働相、ワクチン担当相ら関係閣僚を総入れ替えした。交代で何を見直すのか、政策の継続性に問題はないのかも説明すべきではないか。

 「こども庁」創設に向けた担当相には、総裁選で争った野田聖子氏を処遇した。岸田総裁誕生に貢献した細田派や旧竹下派、麻生派から主要閣僚を迎えつつ、派閥バランスへの配慮もうかがえる。衆院選に向けて挙党態勢を築きたい狙いとみられる。

 岸田氏が新政権発足直後の選挙を急いだのは、コロナ感染者が全国的に減少し、緊急事態宣言などの措置が解除された状況での実施が与党にとって有利との判断もあるのだろう。

 だが、冬にかけて流行「第6波」も懸念される。衆院選は国民に信を問う重要な機会だが、対策に穴を空けてはならない。

 経済の再建に向け、岸田氏は数十兆円規模の経済対策を策定する方針だ。主要な野党も大規模な財政出動を訴える。衆院選では、その支援対象や効果、財源などが争点となる。

 岸田氏は「丁寧な政治」を掲げる。解散権を行使する前に、国会で与野党の対立軸を明確にして政権選択を問うべきだ。