中国新疆ウイグル自治区で生産された「新疆綿」の取引の見直しを日本企業が進めている。

 同自治区で、中国当局による少数民族ウイグル族への人権弾圧が問題になっているためだ。強制労働が行われているとして、欧米は新疆綿の輸入規制を行っている。

 共同通信の調査によると、日本でも大手アパレルやスポーツ用品の上場企業10社以上が、使用の停止や削減など調達を見直した。

 企業活動で人権尊重への責任を求める声が投資家や消費者の間で高まっている。対応が後ろ向きと見られれば信頼や競争力を失うことにもつながりかねず、避けて通れない経営課題となっている。

 新疆綿は世界三大高級綿の一つとされ、シャツや下着などに幅広く使われてきた。

 調査では、新疆綿を使用または過去使っていた18社のうち、既に8社が使用を停止したか停止を決め、一時見合わせや使用量削減を含めると大半が実質的な調達見直しを行っていた。

 ただ、「風評被害の懸念がある」として調達方針を明確にしない企業も多い。

 米中対立で新疆綿がやり玉に挙げられ、企業が板挟みになっている現状がある。

 米国は1月、ウイグル自治区での強制労働に関する輸入禁止措置に違反したとして、カジュアル衣料品店「ユニクロ」の一部商品を差し止めた。

 新疆綿の不使用方針を表明したスウェーデンの衣料品チェーン「H&M」などは、中国で激しい不買運動にあった。

 欧米の規制や消費者の批判が強まる一方、中国との取引縮小や報復の恐れがあり、ジレンマに陥っている企業が少なくない。

 事業活動の「人権リスク」を低減させるルールが求められよう。

 欧米各国は、取引先などに人権リスクがないか把握する「人権デューデリジェンス(DD)」に関する法整備を加速させており、企業に調査や検証、情報開示を求めている。

 日本の対応は遅れており、人権DDは努力目標にとどまっている。経済産業省は、供給網からの人権リスク排除に向けた指針策定を繊維業界団体に要請し、2022年をめどに策定が見込まれている。

 企業の人権侵害への対応強化は世界的な流れだ。

 政府は、企業任せにせず、法整備を含めた人権尊重のルールづくりや、企業の取り組みを後押しすることが求められる。