地球温暖化防止が世界の喫緊の課題であることを改めて考えさせられる。

 今年のノーベル物理学賞に、米プリンストン大上席研究員で気象学者の真鍋淑郎さん(90)=米国籍=ら3人が選ばれた。

 授賞理由は「地球の気候と地球温暖化の予測に関する物理モデルへの貢献」である。

 日本人のノーベル賞受賞は2年ぶり28人目で、物理学賞は12人目となる。

 真鍋さんは温暖化予測の先駆者として、2010年に京都府などが創設した第1回「KYOTO地球環境の殿堂」入りし、表彰された。

 温室効果ガスの削減目標「京都議定書」が採択された地ゆかりの研究者の受賞を祝いたい。

 真鍋さんは愛媛県出身で、1958年に渡米し、海洋大気局で気候の研究を続けた。

 大気と海洋、陸地の相互作用を再現した「大気海洋結合モデル」を開発、地球温暖化予測の礎を築いた。

 88年には、北半球で温暖化がより顕著になると発表して世界的な注目を集めた。予測の正しさは後の観測からも実証されている。

 コンピューターの性能が現在とは比較にならないほど低かった時代にあって、シミュレーション実験の精度向上など地道な努力が実を結んだ結果と言えよう。

 真鍋さんは、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が90年に発行した第1次評価報告書の執筆者にもなった。

 現在も「石炭や石油を燃やすことをできるだけ早くやめるべき」と精力的な発信を続けている。

 受賞を受け、「洪水や干ばつなどいろんなことが起こっている。そういうことに対して認識してくれたのがとてもうれしい」とコメントした。

 気象分野がノーベル物理学賞に選ばれるのは異例だが、気候変動への危機感が高まっていることが背景にあろう。

 IPCCは8月、産業革命前と比べた世界の平均気温の上昇幅が、2021~40年の間に1・5度を超える可能性が非常に高くなったと公表した。

 4月の「気候変動サミット」では、50年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けて各国が新たな数値目標を掲げた。

 真鍋さんらの警告を私たちは十分に受け止め切れていない。温暖化防止に向けていっそう取り組みを進めねばならない。