生理用品を配布している京都市の窓口。引き換えカードを示せば無言で渡すようにしているが、訪れる人は少ないという(8月16日、中京区・ウィングス京都)

生理用品を配布している京都市の窓口。引き換えカードを示せば無言で渡すようにしているが、訪れる人は少ないという(8月16日、中京区・ウィングス京都)

 経済的理由などで生理用品を入手できない「生理の貧困」を巡り、自治体が実施する生理用品の配布が思うように進んでいない。新型コロナウイルス禍を受け、京都や滋賀をはじめ全国で配布の動きが広がるが、窓口に取りに来ることがハードルとなり、必要な人に届いていない恐れがある。一部では窓口で申し出に応じて手渡す配布方法を見直す動きがあるなど、模索が続いている。

 「始めた当初はそこそこ希望者が来たのですが、最近は土日でも1桁です」。京都市中京区のウィングス京都。倉庫に高く積まれた生理用ナプキンを前に、職員が肩を落とした。ウィングス京都では市内で最多の約3千パックを配布しているが、9月末までの3カ月間で実際に渡したのは178パックという。

■公言に抵抗感か

 担当者は「困窮する人が生理用品1パックを取りにわざわざバスに乗って来るかというと、それはできない。生理で困っていると他人に公言することへの抵抗感もあるのでは」と話す。

 京都市が生理用品の配布を始めたのは7月。「生理の貧困」の問題化を受け、地域の社会福祉協議会など23窓口を中心に計1万パックを用意した。ただ8月末までの2カ月間の配布数は、NPO法人から配布した分も合わせ約2100パックにとどまる。一部の窓口は緊急事態宣言下は閉鎖しており、特に窓口での配布が進んでいないという。

 生理用品の配布は、国の後押しもあり、夏ごろから取り組む自治体が急増。内閣府の7月20日時点の調査によると、支援策を取る自治体は少なくとも581あり、全国の3割に上った。同調査などによると、府内では京都、向日、長岡京、八幡、大山崎、久御山、精華の7市町が配布を実施。いずれも専用のカードや画像を窓口で示せば、無言で渡す方式をとる。滋賀県では大津、草津、東近江、湖南、甲賀、竜王の6市町が取り組んでいる(両府県とも学校配布のみ実施している自治体は除く)。

 大山崎町は6月上旬から、役場などに計300パックを用意。ただ10月上旬までの配布数は70パックで、町は「対象者に情報が届いていない」と周知を続ける。精華町は6月下旬から配布を始めた。昼・夜用を入れた500セットを用意したが、配布数は9月末で124セット。7月から始めた向日市は10月上旬時点で200パック中98パック、7月20日から配布する久御山町は230パック中14パックのみと低調だった。

 在庫が無くなれば配布を終了するという自治体も多く、今後も継続して支援が行われるかは不透明だ。

■女性の声生かし

 コロナ禍で急速に広がった生理用品の配布。今後の支援にはどういった視点が求められるのか。「生理用品の社会史」の著者で歴史社会学者の田中ひかるさんは「窓口配布に一定の効果はあるが、そもそも配布情報を受け取れない、恥ずかしくて言い出しにくいといった課題がある。『生理の貧困』はコロナ禍で可視化されたにすぎず、自治体には今後も民間と連携したり、自治体間で情報交換をしたりしながら、女性の声を生かした継続的な支援が求められる」と指摘する。