約700万人を擁する中央労働団体である連合の新会長に、芳野友子氏が就任した。

 1989年の結成以来、女性の会長は初めてだ。ジェンダーの平等や多様性を体現する新リーダーとして期待されよう。

 新型コロナウイルスの影響で、非正規労働者をはじめ多くの働く人が苦しい状況に置かれている。

 大企業労働組合出身の男性を中心に運営されてきた連合をどのように引っ張り、雇用や労働環境を守っていくか手腕が問われる。

 芳野氏は、高校卒業後入社したミシンメーカーで労組役員となり、2015年から主に中小製造業の労働組合でつくる産業別労組「JAM」と連合の副会長を兼任してきた。

 会長人事は、候補者と目された産別労組幹部が、出身組織の反発を受けるなど人選が難航した。芳野氏は、優秀でも女性の昇進を妨げる「ガラスの天井」を打ち破るチャンスと引き受けたという。

 働く女性の立場が依然として厳しい現状が背景にある。

 政府の調査によると、今年8月時点で企業などに雇われている非正規のうち、女性は1400万人で半数以上を占める。正社員含め賃金は男性の7割強にとどまる。解雇や雇い留め、社会的孤立などのしわ寄せも目立っている。

 芳野氏は「非正規の女性の処遇を改善しないと全体の労働条件も良くならない」と訴える。

 女性の労働環境向上に取り組んできた経験を生かし、雇用確保や非正規の待遇改善に突破力を発揮してほしい。

 連合が活動の中心としてきた賃金交渉では、長期不況で目立った成果を上げづらい状況が続いている。安倍晋三・菅義偉政権は、経済対策として「官製春闘」と呼ばれる賃上げに動き、連合の存在感は薄れた。

 組合員数も、発足当初の約800万人から704万人に減少。雇用者全体の労組加入率は約17%と低迷している。

 ただ、近年は非正規労働者の増加とともに労組加入者も増えている。パートや派遣、フリーランスなど、不安定な働き手の労働環境改善にもっと力を入れる必要がある。

 政治活動では、政党支持方針を巡って、連合内で路線の違いが生じている。

 今月中に衆院選、来夏には参院選が行われる。いかにかじ取りをしていくかも注目される。