京都市動物園では動物との近さが売りだったが、新型コロナウイルスに感染恐れのある動物の安全対策として、コーンやバーなどで人との距離を確保している(京都市左京区・同園)

京都市動物園では動物との近さが売りだったが、新型コロナウイルスに感染恐れのある動物の安全対策として、コーンやバーなどで人との距離を確保している(京都市左京区・同園)

ゴリラ舎はガラス張りだが、空気孔を設けているため、距離を保つ措置を実施している。ゴリラは人気が高く、多くの人で密状態になる場合もある

ゴリラ舎はガラス張りだが、空気孔を設けているため、距離を保つ措置を実施している。ゴリラは人気が高く、多くの人で密状態になる場合もある

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言解除に伴い、1日に再開した京都市動物園(左京区)。にぎわいが久々に戻る一方、海外では動物の新型コロナウイルス感染も確認されており、気の抜けない状況が続く。園は「第6波」以降を見据え、事前予約制による入園者数制限の検討も始めた。

 米国のアトランタ動物園で9月、10頭以上のゴリラが新型コロナに感染したと、地元メディアが伝えた。せきや鼻水、食欲不振といった症状があり、飼育員から感染したとみられる。同国の別の動物園では、トラやライオンの感染も判明。死亡例の報告はないほか、現地では動物用ワクチンや治療薬も導入されているといい、京都市動物園も情報収集に努めている。

 日本動物園水族館協会(東京)によると、国内の動物園で、動物のコロナ感染は確認されていない。ただ協会の対策ガイドラインでは「園では良好な衛生条件などにより動物からヒトへの感染はないものと考えられる」としつつ、米国の動物園のほか、オランダで毛皮用に飼育されているミンクから従業員への感染事例も挙げ、ヒト―動物間の感染に注意を呼び掛けている。

 京都市動物園ではもともと、動物との距離の近さを売りにしてきた。トラ舎は二重の網越しで最短15センチしかなく、息づかいを感じられるほどの迫力だ。しかし、ネコ科の動物なども感染の恐れがあるとして、昨年5月からコーンなどを設置して2メートル以上の距離を確保してきた。

 ガラス張りのゴリラ舎でも距離を保つ措置を取る。舎では体臭などを感じてもらえるよう、通気孔を設けているためだ。だが、ただでさえスペースが限られている周辺通路が、距離規制でさらに狭くなった上、ゴリラは特に人気が高く、来園者で密状態になる場面も見られる。

 動物と近くで接する飼育員も感染対策に細心の注意を払う。ゴリラの飼育員の1人は「他の動物も担当しており、ゴリラ舎に入るたびに手洗いや消毒を1日10回ほどしている」と話す。ゴリラの健康チェックで直接触れる時は原則、ゴム手袋をはめて対応する。

 また、ワクチン接種について、国内での動物への感染事例がないことなどから、市では園職員の優先接種は検討されず、この飼育員も1回目の接種を終えたばかり、という。「なかなか予約が取れなかった。動物への感染リスクが下がると思うので少し安心だが、園も再開したので、できる対策を徹底したい」と引き締める。

 園では入園者数の制限も検討している。上野動物園(東京)は全日、天王寺動物園(大阪市)は週末や祝日を対象に、事前予約制で人数制限している。京都市動物園は再開園に合わせた導入は見送ったが、再び感染者が急増した時を見据え、予約システムを準備しているという。

 ただ、同園の坂本英房園長は「やっぱり、リアルな体験が動物園の魅力」と強調する。現在制限している自身の園ガイドや動物との触れ合い、屋内施設の観覧などについて、「再開のタイミングは難しいが、動物の安全を守りながら、来園者にも安心して楽しんでもらえるよう考えていきたい」と話している。