京都生協の店舗に並ぶ野菜。高値続きで植物工場産野菜に注目が集まっている(京都市中京区)

京都生協の店舗に並ぶ野菜。高値続きで植物工場産野菜に注目が集まっている(京都市中京区)

 長雨などの影響で農産物の価格が高騰する中、天候に左右されない植物工場産の野菜に注目が集まっている。安定供給が見込めることから引き合いが急増し、工場を運営する京都の企業はフル稼働で対応に追われる。環境負荷が小さいという特徴もあり、引き続き市場規模は拡大する見通しだ。

 「新型コロナウイルス禍でテークアウトを始めた飲食店からも引き合いがあり、問い合わせは例年の2倍に増えた」。レタス生産工場を運営するスプレッド(京都市下京区)の稲田信二社長は手応えを語る。取引先となる小売店や飲食店からは「仕入れ可能な量や、価格の見通しが立てやすい」と、工場産ならではの安定性を評価する声が届いているという。

 国内に2カ所ある同社の工場では昨年12月からフル稼働での生産が続いており、需要のさらなる増加を見据え、工場増設も検討する。稲田社長は「植物工場は農薬の使用を抑えられ、環境負荷も小さい。社会課題の解決とも連動しており、中長期的に評価される事業に育てたい」と意気込む。

 注目が集まる背景には、野菜価格の高騰もある。京都生活協同組合(南区)によると、天候不良のため9月中旬時点の小売価格は前年同時期と比べ、ナスが1・3倍、ハクサイが1・4倍、レタスが2・5倍になっている。農林水産省は、こうした葉物野菜の高値が10月前半まで続くと予想する。京都生協は「露地野菜の仕入れ減少を補うため、工場産野菜の発注が全国的に増えている」とみる。

 「焼肉の名門 天壇」を運営する晃商(東山区)は、三重県名張市に工場を構えており、価格高騰が顕著になった8月下旬から受注が拡大している。出荷量は約2割増えたという。

 中長期的な市場拡大も見込まれる。調査会社の矢野経済研究所(東京)によると、飲食店などによる業務用ニーズの高まりから、植物工場産野菜の市場規模は、2024年度に17年度比6・6倍の360億円規模まで膨らむ見通し。最近では大手企業の新規参入も相次いでおり、晃商は「収益性を高める方法を検討したい」と早くも将来の競争激化を見据えている。