首都圏で最大震度5強を観測した7日深夜の地震は、多くの帰宅困難者が出る事態となった。

 鉄道をはじめ公共交通機関が停止し、足止めされた通勤者らが駅などにあふれた。都市が抱える災害時のリスクを改めて思い知らされた。

 行政や交通機関、企業は対策を再点検するとともに、市民も備えを心掛けたい。

 今回の地震では、JRや私鉄の多くの路線で運休や遅れが出て約36万8千人に影響があった。

 ターミナル駅では、帰宅のためタクシーを待つ人たちの行列が見られた。一部の駅では、帰宅困難者に水や食料品が配られ列車が待機場所として開放されたほか、6カ所の公共施設が約120人を受け入れた。

 帰宅困難者がクローズアップされたのは、2011年の東日本大震災だった。首都圏の約515万人が当日中に帰宅できなかった。18年の大阪府北部地震でもJRが運休となり、京都駅などで大混雑が生じたことは記憶に新しい。

 大規模災害の発生時に、特に気をつけたいのが「むやみに移動を開始しない」との基本原則だ。

 多くの人たちがまちにあふれていると緊急車両の通行を妨げ、救助活動に支障が出る。駅や道路に人が集中すれば集団転倒が起こったり、沿道の火災や建物の倒壊に巻き込まれる二次災害が生じたりする恐れがある。

 鉄道事業者や集客施設、企業は、利用者や従業員の待機への備えを確認し、水や食料の備蓄など非常時の備えに万全を期してもらいたい。

 京都や滋賀の各自治体は、宿泊施設や社寺などと協定を結び、帰宅困難者が一時的に身を寄せる場所の確保を進めている。京都市は、避難先などを案内する支援サイトも設けている。高齢者や障害のある人たち、外国人らへの配慮も重要だ。

 関西広域連合によると、今後30年以内に高確率で起こるとされる南海トラフ巨大地震では、長期にわたる公共交通機関のまひで、関西の帰宅困難者数は220万~270万人に上ると見込まれている。

 大規模災害では、被害や混乱を最小限に食い止めるために広域的な連携が欠かせない。

 各自治体や経済団体は、帰宅困難者の受け入れや避難ルートの確保などで協力体制を構築しておく必要がある。私たちも日ごろから、安全確保のための待機場所や徒歩による帰宅順路などをチェックしておきたい。