岸本真砂子さんが生前、自宅の花壇に植えたチューリップに手を差し伸べる夫貞巳さん(大阪府豊中市)

岸本真砂子さんが生前、自宅の花壇に植えたチューリップに手を差し伸べる夫貞巳さん(大阪府豊中市)

岸本真砂子さん

岸本真砂子さん

 京都市東山区・祇園で軽ワゴン車が歩行者らをはねて19人が死傷した事故は12日、発生から7年を迎えた。友人とともに犠牲になった大阪府豊中市の岸本真砂子さん=当時(68)=の夫貞巳さん(76)は、愛する人を亡くした喪失感を抱きながらも、歩みを進めようと前を向く。命日のこの日、長男(49)とともに墓前で手を合わせ、「皆、元気にやっているよ」と語りかけた。

 貞巳さんの自宅を訪ねると、春の光に照らされた庭の花壇で、1輪のチューリップがつぼみを膨らませていた。植物好きの真砂子さんが植えたもので、毎年、かれんな花を咲かせる。貞巳さんは「大切に世話をしていた妻の姿を思い出す」と優しく手を差し伸べた。

 真砂子さんは7年前、桜が満開の京都に友人とともに出掛け、帰らぬ人となった。事故の風化が懸念される中、住民らは今年も12日に、事故現場に花を手向け、近くの檀王法林寺(左京区)では追悼法要が営まれた。

 貞巳さんは「京都の人が忘れずにいてくれて、本当にありがたい」と感謝する。

 今年2月、貞巳さんは旅先の松山市で、早咲きの桜を目にした。美しさに見とれたのもつかの間。「妻が一緒にいてくれたら、いろいろな話ができたのに」と寂しくなり、涙をこらえた。2人で旅行すると、貞巳さんを引っ張るようにして、一歩先を歩いた真砂子さん。「私にとって妻は、生きがいであり、人生を歩むためのつえでした」