衆院が解散され、4年ぶりの総選挙が事実上スタートした。

 19日公示-31日投開票の日程で、異例の短期決戦となる。岸田文雄首相が就任して10日間での解散、投票日までの期間が17日間というのも、ともに戦後最短だ。

 新型コロナウイルス禍で初の大型国政選挙となる。岸田氏は、解散の理由に「コロナ対策、経済対策の早期実現」を挙げ、速やかに民意を問う必要があるとした。

 与野党は対立軸を鮮明にし、しっかりと政策を掲げて国民に選択肢を示してほしい。

 衆院は21日に任期を控えており、実態は任期満了での選挙に近い。任期満了選挙は1976年12月にも実施されているが、本来の満了日を越えて選挙が行われるのは現憲法下では例がない。

 菅義偉前政権は早期解散を模索したが、コロナ感染拡大と支持率低下により踏み切れず、党勢挽回を期して自民党総裁選を優先させたことが退陣につながった。

 岸田氏が解散という手段を使って衆院選を急いだのは、政治空白を短くするだけでなく、コロナの感染状況が落ち着き、新政権発足の勢いがあるうちに実施したいとの思惑もあっただろう。

 だが、岸田政権は発足したばかりで、閣僚の手腕も未知数だ。

 国会では所信表明演説と3日間の代表質問を行っただけで、コロナ対策や今後の経済対策について中身はほとんど明らかになっていない。

 具体的な政策を十分示したとはいえず、主張の違いを浮き立たせる議論も不十分だった。

 直前まで9年近く続いた安倍晋三・菅政権の「1強体制」のもとでは、政策決定や国会運営、国民への説明などに批判もあった。

 それらの評価に加え、岸田政権がこうした路線や政治手法を引き継ぐのかどうかも問われよう。

 政権交代を目指すとする野党側は、立憲民主党と共産党を中心に候補者調整を進めるなど共闘態勢をつくってきた。約220選挙区で一本化が整い、与野党対決の構図がはっきりしてきた。

 野党間の選挙協力は、最近の国政選挙などで成果を挙げてきた。巨大与党に対抗できる対立軸を掲げ、政策や政治姿勢で有権者を引きつけることができるかどうか、野党の底力も試されよう。

 コロナや経済に限らず、人口減少や高齢化など直面する課題にどう対処し、どのような社会をつくるのか、与野党とも具体策を語り、活発な論戦に挑んでほしい。