狭い急流を越え、開けた視界に美しい渓谷の風景が広がる(トロッコ保津峡駅付近)

狭い急流を越え、開けた視界に美しい渓谷の風景が広がる(トロッコ保津峡駅付近)

水面から顔を出した「ライオン岩」。動物などに見立てた奇岩が次々に現れる

水面から顔を出した「ライオン岩」。動物などに見立てた奇岩が次々に現れる

保津川下り

保津川下り

 京都府・亀岡の三大観光の一つ「保津川下り」。筏(いかだ)流しを起源に観光船も120年以上の歴史があり、近年は訪日客人気もあって年間約25万人が楽しむ。地元出身の記者も20年ぶり2回目の体験で、ワクワクしながら乗り込んだ。

 水ぬるむぽかぽか陽気の中、平日の午前10時の便とあって多くの外国人と同乗して亀岡市・保津大橋上流の乗船場から出航した。

 最初はゆったりとした流れ。「カワウやシラサギがいますよ」と船頭さん。山並みが近づき川幅が狭まってきた頃、渓谷沿いを走ってきた赤と黄色のトロッコ列車とすれ違い、船客は歓声を上げて盛んに手を振った。

 この辺りから川の流れが急になる。「一気にスピードアップします」との合図に、客のテンションが上がる。急流や急カーブ、岩場すれすれの通過はスリル満点。「失敗したら転落です」と客を笑わせつつ、船頭さんは見事にかいをさばく。

 操船は3人一組。一人前になるまで最低6年かかるという。8年目の加藤昌之さん(28)は「日々、技術を盗んでます」。次々に現れる「烏帽子(えぼし)岩」「カエル岩」などの奇岩、名所の話に引き込まれる。

 トロッコ保津峡駅の下に差し掛かり、いっそう渓谷美が増す。緑に包まれ、澄んだ流れに身を任せていると日常を忘れてしまう。吹く風が心地良く、春のにおいがした。

 山を縫うように下ってJR山陰線の五つ目の橋りょうを過ぎ、流れが緩やかになると嵐山だ。早速、おでんや飲み物を売る屋形船が近づき、客に笑みがこぼれる。自然の癒やしもスリルも満喫できた約1時間40分。四季折々に変わるであろう風情も味わってみたい。

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 豊かな自然や伝統的な文化、暮らしにひかれて多くの観光客が訪れる丹波。でも意外と地元の人はその魅力に気づいていないのでは。記者が「小さな旅」に出掛けて体感してみました。