国会議事堂

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前回衆院選以降の安倍、菅両政権での主な出来事

前回衆院選以降の安倍、菅両政権での主な出来事

 京都府内の自治体で勤務経験がある霞が関の現役官僚は今も、ある人事が忘れられない。

■異例の人事

 第2次安倍政権発足から約2年半後の2015年夏、総務省自治税務局長が自治大学校長に転出した。局長は菅義偉官房長官(当時)肝いりのふるさと納税制度を巡り、異論を唱えていた。自治体に寄付できる上限額を引き上げる方針は寄付者への返礼品競争を激化させかねないためだ。

 局長は省内でキャリア官僚トップの事務次官候補と目されていた。異例の人事は、霞が関で「左遷」と映った。現役官僚は「昇任したければ首相官邸に歯向かうなという見せしめ。官邸を常に意識せざるを得なくなり、意見を言えば忠誠心がないと烙印(らくいん)を押されるようになった」と嘆く。

 安倍政権では経済産業省や警察庁など一部の省庁出身の官僚が官邸に重用された。新型コロナウイルスが感染拡大した昨年2月に安倍晋三首相(当時)が突如打ち出した学校一斉休校、全国民への布マスクの配布…。いずれも「官邸官僚」の発案だったとされる。

 現役官僚は官邸での勤務経験から実情を打ち明ける。「安倍、菅両政権では政権の維持と即効性が重視され、対策は場当たり的。無駄だと思っても、走りだしたら止められない」

■霞が関支配

 安倍政権は省庁の幹部人事を差配する内閣人事局を使って霞が関を支配した。同局の「生みの親」の1人、京都選挙区選出の参院議員だった松井孝治慶応大教授(61)は「想定した以上に巧みに使われた」と表情を曇らせる。

 民主党政権誕生前夜の2008年、野党の責任者として与党・自民党幹部とともに官僚幹部約600人の人事を審査する同局の原案作りに関与した。首相の権限を強化して政治主導で政策を進めるため、首相や官房長官が任命権者である大臣と協議して幹部人事を決める仕組みを作った。

 しかし、安倍政権では主要閣僚以外の大臣が次々と替わり、首相や官房長官に物言えない大臣が増えて「官邸1強」が強まっていった。松井氏は「霞が関ににらみを利かせるために人事局が使われた」とみる。