自閉症や発達障害のある人たちやその家族、支援する人たちの間で「巻物カレンダー」が支持を集めている。

 文字通り巻物のような紙を広げると、1カ月分の日付が横に並び、下の大きな空欄に予定を書き込める。兵庫県篠山市の会社「おめめどう」のオリジナル商品だ。

 自閉症や発達障害のある人たちには、日にちや曜日といった複数の情報が盛り込まれたカレンダーが苦手な人が多い。

 巻物カレンダーの簡素な作りは、そうした人が自分で予定を把握し、生活に役立ててもらう工夫だ。

 「おめめどう」は15年前、同市の奥平綾子さんが設立した。子どもが自閉症と診断されたのを機に、自閉症の人たちが家族や周囲の人たちと交流しやすくするツールを自作し始めた。いまでは全国に5千人を超える利用者がいる。

 今年も4月2日の国連世界自閉症啓発デーと同日からの発達障害啓発週間を機に、各地でさまざまな取り組みが行われた。

 注目したいのは、発達障害を当事者の個性と理解し、社会全体で支えようという動きだ。

 発達障害は脳機能の一部が関係しているとされる。人によって現れる症状は異なり、成人になって診断される例もある。

 人付き合いや学習が苦手といった生きづらさを抱えている人が少なくない。従来は、こうした問題は当事者が原因の障害と捉えられていたが、近年、捉え方が大きく転換しつつある。

 発達障害は個人の特性で、その特性を抱えた人が生きづらいのは、社会や文化といった環境の側に原因があるのではないか、という考え方だ。

 学習障害では、特定の文字体がきらきら光って見え、読めない人がいる。白い紙が苦手という例もある。

 読み書きが苦手と周囲に決めつけられていたのに、教科書のフォントを変えると読みこなせるようになった子どもがいる。

 自閉症スペクトラム障害の人は「これを明日までにやっておいて」「水を少し入れてほしい」などといわれると困惑することが多い、だが具体的な日時や量を示せば理解し行動できる。 

 複数の人が一度に話すと、音が聞き取れず、混乱してしまう人もいる。

 研究者が当事者や家族、支援者らからこうした事例を聞き取り、蓄積を進めている。

 「おめめどう」の奥平さんは、発達障害の人とのコミュニケーションでは「見て分かりやすく、具体的で肯定的」なことと、次に何が起きるのか、を明確にすることが不可欠という。

 こうした気づきの積み重ねが巻物カレンダーにつながった。

 議員立法による発達障害支援法が2005年に施行され13年が経過した。16年には障害者差別解消法が施行され、障害者への「合理的な配慮」が求められるようになっている。だが、具体的にどうしたらいいのかは、まだ浸透していないのではないか。

 障害者だけでなく、誰もが暮らしやすい社会につながるよう、現場の知見を社会全体で共有したい。