大雨が続いた8月中旬、山肌が大きく崩れた大岩山の南側斜面。谷筋の先には住宅街が広がる(京都市伏見区)

大雨が続いた8月中旬、山肌が大きく崩れた大岩山の南側斜面。谷筋の先には住宅街が広がる(京都市伏見区)

 京都市伏見区小栗栖の大岩山(標高182メートル)で産業廃棄物の混じった土砂が繰り返し崩落している問題で、京都市が土地管理者に対し、山頂付近に堆積している多量の産廃を年内に撤去するよう文書で指導していたことが18日、関係者への取材で分かった。市はこれまで産廃の放置を事実上容認してきたが、静岡県熱海市の大規模土石流を受け、方針転換を迫られた可能性がある。

 関係者によると、市は土地管理者側に廃棄物の適正処理を求める「指導票」と呼ばれる文書を9月に交付した。大岩山の頂上付近の産廃を早急に運び出し、適正に処理するよう求める内容で、履行期限は12月28日という。土地管理者はすでに撤去に向けた計画書を提出するなど、市の求めに応じる意向を示しているという。

 2018年、大岩山の頂上付近で建設残土による盛り土が崩れ、ふもとの民家近くまで土砂が迫った。地元自治会などが市に対し、山頂付近に放置されている産廃の撤去を求めてきたが、所管する市廃棄物指導課は「いつ、だれが投棄したのか分からない」「ただちに崩れるとは考えられない」などの理由から、土地管理者が産廃を現地にとどめ置くことを容認してきた。

 だが、3年後の今年7月に熱海市で土石流が起きて以降、同課の担当者が土地管理者と10回以上にわたって協議し、「熱海で土砂災害が発生し、地元で不満の声が上がっている」「急いで対応を決めなくてはならない。住民が議員に相談する動きもある」などと繰り返し撤去を求めるようになったという。

 崩落があった3年前から産廃の撤去を訴えてきた小栗栖自治会の細川喜弘会長は「これまで市に対して何度訴えてきても応じてもらえなかった。熱海の土石流に危機感を募らせたのか、ようやく重い腰を上げてくれた。ただ、頂上付近の産廃だけでなく、違法に運び込まれた全ての建設残土を撤去しなければ、住民の安全は守れない」と指摘する。

 市廃棄物指導課は「住民の不安はこれまでから重く受け止めてきたし、3年間放置してきたわけではない。産廃撤去に向けた土地管理者との協議は1年前から行っており、今回の動きと熱海の災害との間に直接的な関係もない」としている。