高齢化が急速に進む中、老後の暮らしをどう支えるのか。年金や医療、介護など増え続ける社会保障費への対応は、日本の最重要課題の一つだ。

 衆院選がきのう公示された。各党は社会保障の給付と負担の長期的な展望を国民に示す必要がある。

 昨年の日本世論調査会の調査では、現在の社会保障について「安心できない」「あまり安心できない」と答えた人の割合が計8割を超えている。制度の将来を見通せないことが大きな不安材料となっているようだ。

 社会保障費は高齢化とともに増え続け、国の一般会計の約3分の1を占める。団塊世代が75歳となる2022年から加速する支出の増大をどう賄うかが焦点となる。

 20年度の財源約120兆円のうち保険料を除いた約4割は税や国債で、若い世代の負担をいかに抑えるかも問われている。

 政府は本年度、経済財政運営の指針「骨太方針」で、収入に応じて負担を求める「応能負担」の強化を打ち出した。

 医療分野では、一定以上の収入がある75歳以上の窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法が6月に成立した。ただ、現役世代の負担軽減への効果はわずかで、見直しは緒に就いたばかりだ。

 これだけでは高齢化のスピードに追い付けず、抜本的な制度改革が欠かせない。

 与野党の公約をみると、全世代型社会保障の構築(自民党)や、年金に一定額を上乗せして給付する制度の検討(立憲民主党)など、制度維持や低所得者への配慮などに関する文言が目立つ。財源の確保策については、ほとんど言及がない。

 新型コロナウイルス禍による経済の悪化で、20年度に国民年金保険料の全額免除または猶予となった人は約609万人で過去最多だった。需要増で引き上げが続く介護保険料でも滞納が相次ぎ、差し押さえを受けた65歳以上の人も約2万人に上った。

 負担が過重となって医療や福祉から遠ざけられるのは本末転倒だ。きめ細かな支援が求められる。

 その上で、持続可能な制度とするために給付の水準はどうあるべきか、それを支える国民負担はどこまで可能かについて突っ込んだ議論が避けて通れない。

 各党には、子や孫の世代にも安心感を与えることができる制度の在り方を示してもらいたい。