長期の新型コロナウイルス流行は、未来を担う世代を育む足元も揺るがしている。

 感染や生活、先行きへの不安が広がり、少子化に歯止めがかからなくなっている。

 安心して子どもを産み、育てられる環境づくりをいかに進めていくかは、日本の将来を左右する重要なテーマだ。

 選挙で票につながりやすい高齢者向けに政策が偏る「シルバー民主主義」が指摘されて久しい。各党は今回、コロナ禍での子育て支援強化を重点政策に掲げ、若い世代向けに積極的にアピールしている。

 それぞれ具体的な中身と実現性を吟味する必要がある。

 注目点の一つが、子ども政策を推進する組織体制だろう。菅義偉前首相は「縦割り打破」の象徴として、一元的な司令塔となる「こども庁」創設に意欲を示し、来年度中の発足を目指していた。

 岸田文雄政権はこども政策担当相を置いたが、自民党は公約にこども庁設立を明記せず、市区町村の支援拠点整備を盛り込んだ。

 公明党は「子ども家庭庁」を、野党も立憲民主党が将来的に「子ども省」の創設を掲げている。関連施策を一元的、総合的に進める体制構築の方向は似通っている。

 問題は、一元組織の担う中身が不明確なことだ。子ども施策は子育てや教育、少子化対策など多岐にわたる。対象とする子どもを年齢で線引きすると、貧困や虐待問題などへの対策が分断される恐れもある。

 組織の形にとどまらず、施策前進のための体制や連携、権限の在り方などの議論を深めてほしい。

 焦眉の課題は、コロナ禍での困窮拡大だ。親の収入減少から食費や教育費などを十分に賄えない世帯増加への対応が急がれる。

 各党は公約で「子ども関連予算の倍増」「子ども全員への現金給付」「高校までの無償化」など、思い切った支援拡充策を打ち出している。

 ただ、裏付けとなる財源には曖昧さが目立つ。それぞれ具体的な内容と根拠を明確に説明することが求められる。

 コロナ流行で妊娠を控える動きから今年の出生数は初の80万人割れが濃厚とみられ、社会の支え手が細る少子化が加速している。

 不妊治療への支援や夫婦共同の育児促進を含め、結婚から妊娠、出産、高等教育まで子育てを社会全体で支える仕組みや環境の整備を見据える必要があろう。