京都市から送られてきた生活保護費の通知を手にする女性(京都市西京区)=画像の一部を加工しています

京都市から送られてきた生活保護費の通知を手にする女性(京都市西京区)=画像の一部を加工しています

 京都市西京区の女性(68)は、市から送られてきた生活保護費の通知を手にため息をつく。

 家賃を除けば、手元に残るのは月8万円台。食費は月2万数千円に抑えるが、残りは光熱費などですぐ底をつく。「社会保障の財源」とされる消費税も10%に達し、暮らしを圧迫する。

 元夫の暴力的な言動が原因で、20年ほど前に離婚した。だが、黄色靭帯(じんたい)が骨化して神経を圧迫する難病「黄色靱帯骨化症」などを抱え、安定した仕事に就けず生活保護に頼った。

 節電に気を配り、風呂は湯船に浸からずシャワーで済ませる。食事はキャベツやキノコを入れた鍋がおかずの定番で、たまの通院時に回転すし店へ立ち寄ることが数少ない「ぜいたく」だ。

■生活保護削減

 安倍晋三政権時代の2013年から物価指数の下落を理由に、生活保護費が引き下げられた。衣食や光熱費など日常生活に充てる「生活扶助」が最大10%引き下げられ、削減総額は約670億円に上る。

 女性は憲法の定める生存権の侵害だとして、14年には国と京都市を相手に引き下げ取り消しなどを求めた集団訴訟に原告として参加した。切実な声は届かず、今年9月の京都地裁判決は請求を退けた。安倍政権は18年からも多くの世帯の生活保護費を削った。この数年で生活扶助は月6千円以上減った。「人によってはたった6千円かもしれないが、私にとっては1週間の食費以上。国から『生きる価値はない』と言われているように感じる」と声を絞り出す。

■「自助の強要」

 新型コロナウイルス禍の以前から続く景気低迷や高齢化の進行などで、生活保護の受給世帯は増えている。第2次安倍政権が発足した12年12月は157万823世帯だったが、後継の菅義偉政権が続いていた今年7月は164万186世帯となった。

 一方、このセーフティーネットからこぼれ落ちたり、たどり着けなかったりする人たちは少なくない。生活保護基準を下回る所得しかない世帯で実際に生活保護を利用する割合は、わずか2割に過ぎない。