京都市の保育園入園に関する関係書類の一つ。市は保育料の改定方針を掲げているが、具体的な金額などは今も示されていない

京都市の保育園入園に関する関係書類の一つ。市は保育料の改定方針を掲げているが、具体的な金額などは今も示されていない

 京都市が今月、来年4月からの保育利用の申し込み受け付けを始めた。市は財政難に伴って保育料を上げる方針だが、申し込み書類には来年度の保育料が記されていない。世帯によっては月額1万円以上の負担増の可能性もあるだけに、保護者や識者からは「通常の手続きでは考えられない」「生活や仕事への影響が読めない」など批判や不安の声が上がっている。

 受け付けは今月4日に始まった。保育園や小規模保育事業所などに来年4月の入園を希望する場合、11月19日までに申し込む。申し込み数が多いことから、市は11月1日までに希望園への書類提出を呼び掛けている。入園決定以降の準備期間を長くとれるよう、スケジュールが大幅に早まった昨年度より、本年度はさらに1週間ほど前倒しした。

 保育料は国基準額を限度に、世帯所得などに応じて決まる。市は財政難による行財政改革の一環で無償化対象外となる0~2歳児の保育料の引き上げ方針を示している。市幼保総合支援室によると、独自の軽減措置を縮小し、国基準の保育料を基本に来年度からの改定を検討しているという。

 仮に国基準額まで引き上げた場合、年収470万円余りの世帯が保育園に1日10時間預けると、保育料は現行の月額2万6600円から、1万7900円増の4万4500円となる。

 市は6月公表の行財政改革計画案で、保育料の値上げに言及。パブリックコメント(市民意見)や議会で疑問や反対の声が相次いだが、現在も具体的な改定内容は明らかにしていない。保育料に関する入園の案内書類にも「令和4年度は変更になる可能性があります。改めて本市ホームページ等でお知らせします」との記述のみで、料金表は本年度のままだ。

 こうした状況について、来春に第1子が入園希望の保護者(37)は「もともと保育料が高いうえ、きっちり示さず納得いかない。財政難の原因の検証や反省もしっかりとしてほしい」と訴える。

 市によると、きょうだいが同時入園する場合の2人目軽減も見直し対象のほか、保育園より安い小規模保育事業所の保育料についても、保育園の料金体系への一本化を検討中という。小規模保育園を考えている保護者(32)は「少人数の良さとともに、保育料の安さも選んだ理由。家計に影響が出かねない」と憤る。

 市幼保総合支援室は「大きな改定は近年なく、入園の受け付けが始まる時には改定内容を示すことが望ましかった。保護者に申し訳ない」としつつ、「保育料をどうするかはまだ検討中。いつ示せるかも未定」と言葉を濁す。

 保育料制度に詳しい田中智子・佛教大教授(障害者・家族福祉論)は「今も改定内容を示せないのは遅きに失しており、少なくとも来年度の値上げはやめるべき」と強調。値上げの影響について、「保育施設を利用したいのに諦める人が増え、コロナ禍でつながりにくい子育て世帯の孤立化が一層進みかねない。将来的には子育て世帯の市外への流出や、次の子をもうけないといったことも予想される」と指摘している。