新型コロナウイルス禍は、日本社会において貧困や格差が拡大している現実を、如実にあぶり出した。

 暮らしに行き詰まる人を支え、いかに生活の立て直しを後押しするかが政治に問われている。

 最後のセーフティーネットである生活保護の昨年度1年間の申請件数は、22万8千件余りに上り、前年度から2・3%増えた。

 リーマン・ショックの影響で過去最多だった2009年度以来11年ぶりの増加だ。

 雇用情勢の悪化などで、生活が立ちゆかなくなった人が増えていることを物語っている。

 貧困問題に取り組むNPO法人が4月、支援する世帯の約2千人に行った調査では、約8割の人がコロナ禍で収入が減少し、約半数が「家族の食べ物が買えないことがあった」と答えた。

 政府は昨夏の1人一律10万円給付のほか、無利子で最大20万円を融資する「緊急小口資金」や、生活再建資金を貸し付ける「総合支援資金」の対象をコロナ禍で減収した世帯にも拡大した。困窮者らにとっては、生活の下支えとなってきた。

 だが、影響が長引く中、原則借金のため「返済の見通しが立たない」と、申請を控える人も少なくないという。

 各党はコロナ対策や経済対策として、生活支援に向けた再度の現金給付を掲げている。

 野党は、所得税や消費税の減税も挙げている。

 今すぐ支援を必要とする人に、迅速に手を差し伸べることは重要だ。

 ただ、急場をしのぐだけでなく、安定的な暮らしの再建にいかにつないでいくか、その方策が求められる。

 コロナ禍は、「アベノミクス」の下で働く人全体のうち約4割を占めるまでに増えた非正規労働者を直撃した。

 解雇や雇い止め、シフト勤務の急減などが、生活基盤を突き崩した。

 与野党とも「分配重視」を打ち出し、格差を是正するためとして賃金引き上げの必要性を強調している。

 問題は、どうやって実現するかだ。中小の事業所にとって大幅な賃上げは負担が重く、簡単ではない。

 賃金だけではなく、安定して働ける待遇改善や職業訓練の拡充、企業への支援策、財源の裏付けを含め、深く議論してもらいたい。