原油価格の上昇が止まらない。

 世界的な原油高を背景に今週、国内のガソリン小売価格は7週連続で上がり、7年ぶりの高値となった。

 輸送費や光熱費に加え、原材料の値上がりが食料品や日用品などにも波及しつつある。家計や企業にとっては大きな打撃だ。

 新型コロナウイルスの感染「第5波」後の経済回復を本格化させようという日本経済の足かせにもなりかねない。

 政府は、広範な原油高の影響をつぶさに把握し、安定的な供給の確保と物価の推移に目を配る必要がある。

 原油高の大きな要因が、コロナ禍からの経済回復で先行する世界各国の需要急増だ。

 ところが、産油国側は、変異株による感染再拡大などの先行き不安から増産に慎重姿勢を崩していない。需給逼迫(ひっぱく)への警戒感が続き、原油先物相場が約7年ぶりの高値水準で推移している。

 為替の円安進行も、輸入価格の押し上げ要因となっている。

 影響は幅広く表れている。

 ガソリン価格は、18日時点の全国平均でレギュラー1リットル当たり164・6円と、8月末から7円近く上がった。緊急事態宣言が全面解除され、秋の行楽シーズンを弾みに客足回復を期待する観光業界などに水を差す形だ。

 燃料価格を基に決まる電気・ガス料金も9月以降、値上げが続いている。標準的な家庭で今年1月と12月を比較すると、関西電力、大阪ガスとも740円程度高くなる見通しだ。冬場は暖房用に使用量も増えるため、灯油価格の上昇も含めて家計に重くのしかかる。

 原油が高止まりすれば原材料費や物流コストが押し上げられ、プラスチック製品、衣料品をはじめ幅広い商品やサービスに転嫁される可能性がある。

 民間エコノミストの試算で、原油先物価格が最近の1バレル=80ドル程度で推移した場合、家計負担は今後1年間で2万8千円程度増えるという。コロナ禍からの個人消費回復の足を引っ張る懸念が拭えない。

 原油需給の逼迫緩和は、11月上旬の石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国の会合で、さらなる増産を行うかどうかが鍵だ。

 日本政府は主要産油国に増産を働き掛ける一方、生活や産業面での原油高の影響把握や相談・支援を進める方針だ。化石燃料への依存を見直す脱炭素化に向けた家庭や企業の努力もいっそう重要になるだろう。