衆院選で関心のあるテーマを選ぶ街頭アンケートでも安保法制への関心は低かった(24日夕、京都市中京区・三条河原町)

衆院選で関心のあるテーマを選ぶ街頭アンケートでも安保法制への関心は低かった(24日夕、京都市中京区・三条河原町)

 衆院選は折り返しを迎えたが、4年前の前回選挙で主要な争点だった憲法を巡る議論は聞こえてこない。京都の候補者の演説も新型コロナウイルス禍で傷んだ経済の立て直しや東京五輪・パラリンピックで浮き彫りになった多様性の問題などを優先しているようだ。

 前回衆院選は、2016年の安全保障関連法の施行で集団的自衛権の行使が可能となり、9条など憲法改正を巡る議論が活発だった。安全保障を巡る考え方の違いが選挙直前の旧希望の党による「踏み絵」、さらに旧民主勢力の分裂につながり、選挙の構図にも響いた。


 選挙戦の序盤、京都市内でスポット演説した自民党前職は、元自衛隊員の参院議員と並んだが、コロナ対策や国とのパイプを強調した。選対は「憲法改正は必要との意識は本人にもあるが、それよりも訴えたいことがある」。元防衛官僚で選挙区に自衛隊基地を抱える前職も23日夜の個人演説会で「安全保障を語りたいが、それ以上に地方をどうするかだ」と人口減少や産業衰退への危機を訴えた。


 9条改正反対派も憲法論議を先鋭化させていない。公示された19日、京都市内で出発式に臨んだ前職は、市民と野党の共闘に結びついた「立憲主義を取り戻す政権交代」を訴えたものの深くは語らず、ジェンダー平等や気候変動危機への対応を争点に押し出した。


 「総理大臣ならいま何をしたい?」。日曜日の24日夕、中京区の繁華街で、ある政党が10の政策テーマから選んでもらうアンケートを実施した。「消費税の引き下げ」「コロナ対策」「ケア労働の処遇改善」「ジェンダー平等」などが上位を占め、「安保法制なくす」が最も少なかった。各候補者の演説も、有権者のニーズが高い課題を優先していることがわかる。


 一方、各党の政権公約などを比べると、憲法観や姿勢の違いは浮かび上がる。


 自民は改憲項目を初めて記した前回衆院選と同様「自衛隊の明記」や「緊急事態対応」など4項目を提示し、早期の憲法改正実現を目指す。「改憲勢力」の日本維新の会や「加憲」を主張する公明党に加え、国民民主党も建設的な憲法論議の推進をうたう。立憲民主党は護憲か改憲かの二分論にとらわれず「立憲主義を進化・徹底させる」とする。共産、社民党、れいわ新選組は「憲法改悪」に反対の立場だ。


 違いはあってもあまり争点化されていないのは、改憲に積極的だった4年前の安倍晋三元首相に比べて「軽武装・経済重視」の宏池会(岸田派)出身の岸田文雄首相はスタンスが見えにくいこともある。また立憲民主党と共産党の間には安全保障を巡る考え方に隔たりがあり、争点化すれば与党から攻撃材料にされかねないとの懸念も透ける。


 「憲法改正は、最後は国民投票になる。選挙戦で国民が国の在り方を学ぶ機会になれば」。外交・安全保障に精通するベテランの前職は、関心を持ち続けることの大切さを説く。