深刻な人手不足の現状を見せつけた形だ。総務省が公表した人口推計で、働き手の中心となる15~64歳の生産年齢人口が過去最低の水準となった。

 総人口に占める割合は59・7%で、戦後間もない1950年と並んだ。京都府は59・4%、滋賀県は60・3%だった。

 一方で、少子高齢化は鮮明になっている。65歳以上は過去最高の28・1%、特に70歳以上が20・7%と初めて2割を突破した。

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が今月から施行された。外国人への労働力依存が高まるのは必至だ。

 政府は労働力確保の切り札と期待するが、長時間労働や低賃金といった課題は多い。心配なのは、人手不足解消を急ぐあまり、そうした問題への対応が後回しになりかねないことだ。

 相談窓口の設置や生活支援に向けた態勢は十分とはいえない。住民側も文化の違いによるトラブルなどに不安を抱えている。

 安心して働ける環境の整備と、共生への対策が急務だ。外国人は単なる労働力の穴埋めではなく、日本社会の一員として迎える姿勢が求められる。

 景気回復の影響で東京など大都市で人手不足が続いている。都市部と地方で人材の奪い合いになっているとの指摘もある。

 待遇の良い企業が集まる都市部に、若者が吸い寄せられているという。各自治体は人材確保の取り組みを活発化させるが、手詰まり感もあるようだ。

 気掛かりなのは、待遇面など競争の弱い所にしわ寄せがいくのではないかということだ。介護現場などが手薄にならないよう、政策面での配慮は欠かせない。

 生産年齢人口は7545万人。1995年の8726万人に比べると1181万人減った。年間の出生数は減少が続いている。

 今後を見通しても、人手不足解消は容易ではないと誰もが思うだろう。外国人だけでなく、働く女性や高齢者を増やすことなどあらゆる手だては求められるが、補い切れないのではないか。

 身の丈に合った社会をどうつくるかが問われる。「生産年齢」という発想そのものを転換し、働くことの意味を根本から考え直す時期に来ている。

 少子高齢化が問題になってずいぶんたつが、出てくるのは個別の対策が中心で、社会の総合的なデザインが描けていない。国はビジョンを示すべきだ。