数少ない人間洗濯機。ジェット水流が円形の浴槽のお湯を回転させる(京都市伏見区・宝湯)

数少ない人間洗濯機。ジェット水流が円形の浴槽のお湯を回転させる(京都市伏見区・宝湯)

 小さな浴槽の中を水流がくるくると回る。水面が静かに波立ち、上からのぞくとまるで鳴門の渦潮のようだ。

 京都市伏見区・銭湯「宝湯」は、現在では数少ない「人間洗濯機」を備えた銭湯だ。浴槽の壁面から出たジェット水流がお湯を回転させ、実際につかってみるとほどよく体に当たって気持ちいい。

 浴室の建て替えに合わせ、釜業者の紹介で1981年に取り付けた。「壊れたらもう修理できないが、おかげさまで毎日働き続けてくれています」と番台の村田初音さん(89)はほほえむ。

 設置して間もない頃、男の子がふざけて湯船にシャンプーを入れ、辺りが泡だらけになった。「他のお客さんが協力して泡をかい出してくれた。ありがたかったですね」と、ほっこりした逸話も。機械が古くなり水流の勢いも弱くなったが、今も人の心と体を温め続けている。