京都大学

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 腎臓移植後の腎機能の経過を予測する新たな指標を見つけたと、京都大などのグループが発表した。機能低下を招く「予兆」を事前に把握できるようになり、移植後の治療戦略に生かせるという。国際学術誌に1日、掲載された。

 腎臓病などでは慢性炎症に伴い「三次リンパ組織」ができ、病状を悪化させることがある。特に高齢者で多く見られるという。このリンパ組織は移植による炎症でもできると考えられるが、頻度や移植後の経過への影響は不明だった。

 京大医学研究科の柳田素子教授らは秋田大との共同研究で、生体腎移植を受けた患者214人を対象に移植後0時間、1カ月、6カ月、12カ月の計4回にわたって経過観察。その結果、1カ月後に約半数でリンパ組織が形成され、12カ月後には約2割でより進行した状態のリンパ組織「ステージⅡ」が見つかった。

 さらに、ステージⅡが見つかった患者では10年後に腎機能障害を発症する確率は約50%で、リンパ組織ができていない人に比べて2倍以上に高まった。一方、抗がん剤などに使われる免疫抑制剤リツキシマブを移植前に投与するとステージⅡへの進行を大幅に抑えられることも確認した。

 柳田教授は「ステージⅡが経過を悪化させる大きなリスク要因だと分かった。今後は臨床研究を行い、有効な治療法を検討していきたい」と話している。