衆院選で立憲民主党などの野党は、9年近く続く自民・公明両党連立政権に代わる政権の受け皿となれなかった。その事実を直視する必要があるだろう。

 岸田文雄首相が率いる自民は公示前より15議席減らしたが、追加公認を含め国会運営を主導できる絶対安定多数の261議席を単独で確保し、公明も32議席に増やした。政権継続の足場を固めた形だ。

 これに対し、野党第1党の立民は、「政権交代」を掲げて小選挙区で共産党などとの共闘を拡大したが、比例での大幅な落ち込みから全体で14議席減らし、振るわなかった。執行部の責任を問う声も挙がっている。

 野党再編で現在の立民が誕生して1年余り。政権の新型コロナウイルス対応の遅れや相次ぐ不祥事への国民の不満をすくい取り、新たな展望を示す存在感を発揮できなかった結果といえよう。

 今回の野党共闘の在り方を含め課題を深く検証し、態勢を立て直していくことが急がれる。

 立民を軸とする5野党の一本化候補は、全小選挙区の7割強の213選挙区で与党系と激突した。

 多くで接戦に持ち込み、現職の甘利明自民幹事長、若宮健嗣万博相を敗北(ともに比例復活)に追い込むなどした。ただ全体では5野党勝利は3割程度で、効果は限定的だったと言わざるをえない。

 安全保障はじめ基本政策で共産との相違を与党側に攻撃され、共産が「限定的な閣外協力」をするとした野党政権の姿も有権者に分かりにくかったのは否めない。

 過去の対立経緯から立民の支持組織などで共産への拒否感が拭えず、相互支援の効果を発揮できなかった小選挙区も少なくない。

 一方、野党共闘と一線を画した日本維新の会は4倍近くに急伸した。「改革」を前面に与党との違いを分かりやすく打ち出し、政権批判の受け皿となったといえよう。

 来夏に参院選を控える中、巨大与党に対抗し、国会に緊張感を取り戻すには、野党が「多弱」のままでなく一つのかたまりになって向き合うことが不可欠だ。

 第1党の立民の責任が大きい。今回、ほぼ任期満了の選挙だったのに、野党共闘の合意と候補者調整は直前にずれ込み、消費税減税などの共通政策や政権構想も「付け焼き刃」になった感がある。

 その反省に立ち、今後の国会対応や各種選挙での共闘態勢をいかに練り上げ、実践的に行動していけるかが問われよう。