被害がさらに広がっていかないか、心配だ。

 小笠原諸島「福徳岡ノ場」の海底火山が噴火してできた軽石が、千キロ以上も離れた沖縄、鹿児島両県の島々に漂着し、漁業や観光業などに、大きな被害をもたらしている。

 沖縄本島北部の漁港などでは、青い海が灰色の軽石によって覆われてしまったところがある。

 船が吸い込んで、故障するのを避けねばならず、出漁できない状況が続く。モズクの養殖や離島航路にも、影響が出た。

 リゾートホテルでは、ビーチが埋め尽くされた。人気のシュノーケリングが、楽しめなくなったという。

 鹿児島県の与論島では、タンカーが接岸できず、発電用の重油を供給できなくなった。

 このような事態が、相次いで起きるようでは、災害とみてよいだろう。

 政府はじめ関係機関は、早急に対策を講じるべきだ。

 沖縄県の玉城デニー知事は今週に入って、漁業と観光業に対する支援と撤去費用への補助を、政府に要請した。

 これに対して国土交通省は、被災した防波堤や岸壁などの復旧に充てる補助制度を、適用していく方針を示した。

 頻発する事案ではない。前例がなくても、臨機応変に対応してもらいたい。加えて、効果的な除去方法を、見いだしておく必要があろう。

 軽石は、火山から噴出したマグマが冷やされる際に、含んでいたガスが抜けて穴の開いたもので、水に浮く。

 今回は、明治以降に国内で起きた最大級の噴火が、8月中旬に起きたことに伴い、1億~5億立方メートルにも達する大量の軽石が生じたとされている。

 それが先月上旬になって、沖縄県内に現れた。

 海洋研究開発機構のチームが先週までに、スーパーコンピューターを使って予測したところ、黒潮に乗って北上し、今月末には神奈川県や千葉県など関東地方の沖合に到達する見通しだ。

 漂流中に軽石が沈む場合があるので、どのくらいの量が流れて来るのか、海岸に漂着するかどうかは、分かっていない。

 とはいえ、これ以上、被害が広範囲に及んではなるまい。実際の観測データと突き合わせて予測の精度を上げるとともに、着岸を防止する方策を用意したい。