インターネットで知った、いい話だと思ったら、お金を払った宣伝だった。そんな口コミを装った「ステルスマーケティング(ステマ)」のネット広告に惑わされないよう注意しないといけない。

 京都市が人気漫才コンビにツイッターで施策をPRしてもらうのに、100万円を支払う契約を吉本興業と結んでいた。

 京都市と吉本興業側は、ツイートに「#京都市盛り上げ隊」などのハッシュタグ(検索目印)があるので、京都市の発信と分かるはずと、ステマを否定する。

 しかし、市が広告主とする記載はなく、ネットや市に「ステマでは」との疑問や苦情が相次いだ。京都市出身の漫才コンビが「京都最高-」などとツイートすれば、宣伝とは思いにくいだろう。

 ステマは広告と気づかれないための手法だ。今回のツイートは、ステマと受け止められても仕方ない。少なくとも、結果的にステマ効果をもたらしたとみていい。

 法的に問題がないからよいということではあるまい。特に京都市は消費者保護行政を担っており、むしろステマに気を付けるよう呼びかける役割があるはずだ。改めて認識してもらいたい。

 ネット上では、飲食店や商品通販などのサイトで、やらせが絡んだ投稿やランキングなどが横行している。その裏側では、業者の請負や主婦のアルバイトなどで金銭が動いているという。

 ほかにも、一般人がブログで商品を紹介し、閲覧者に売れると企業から報酬が支払われる、というネット広告も出てきた。

 米国では「欺まん的行為」としてステマが法で規制されているが、日本の法整備は遅れている。グレーゾーンが広いと言われるネット広告だが、基準を明確にして何らかの規制に向けた議論を急ぐ必要があろう。

 電通によると、ネット広告費は5年連続で2桁増となっており、昨年は1兆7500億円を超え、地上波テレビとほぼ肩を並べるまでになっている。消費者に及ぼす影響は大きくなったと言える。

 ネットを情報発信や宣伝に利用するには、重い責任が伴う。広告の業界団体がステマ対策のガイドラインを策定したが、自治体や企業にも一定の指針が要るのではないか。市民や消費者に誤解を与えれば、一気に信用を失うことになる。

 ネットの利用者も、情報の発信源を確認するなど、真偽を読み解く目を養わないといけない。