巨費を投じた新型コロナウイルス対策を巡って、そのずさんな契約や管理の実態が、会計検査院の2020年度決算検査報告で浮かび上がった。いわゆる「アベノマスク」の全世帯配布といった場当たり的な浪費は看過できない。

 報告が指摘し、改善を求めた「税金の無駄遣い」は210件、総額2108億7千万円に上った。コロナ関連は19~20年度の770事業を検証したが、緊急事態宣言地域の検査ができず、報告に表れた数字は氷山の一角とみられる。

 布製のアベノマスクは、昨年4月にマスク不足が深刻化した中、当時の安倍晋三首相が1世帯当たり2枚の配布を決断。しかし、送付が遅れる間に品薄が解消されて不要となり、世論の反発を招いたのは記憶に新しい。

 厚生労働省と文部科学省が計約3億1千万枚を調達した。緊急に確保するため、いずれも業者とは随意契約で、支払総額は約442億6千万円だったという。

 しかし、厚労省分は配布方針の変更などで、今年3月時点で約8千万枚(約115億円相当)を抱え、保管費は約6億円に上った。さらに不良品に伴う検品などに約21億4千万円を要した。

 見通しが甘く、不良品があった場合の費用負担の措置も定めていなかったのにはあきれる。

 事業者への持続化給付金事業は再委託が最大で9次請けも繰り返されたことが判明、不正受給も相次いだ。観光支援事業「Go To トラベル」停止に伴う補償金支払いを巡る不透明な処理や、不具合が起きた接触確認アプリ「COCOA(ココア)」のずさんな対応も指摘し、改善を求めた。

 コロナ関連予算65兆4千億円のうち、支出されたのは65%に当たる42兆5千億円にとどまった。21年度への繰越額が21兆7千億円、使途がない不用額も1兆円余りに達した。使い道を決めない予備費として計上されたため、繰越・不用額が膨らんだとみられる。

 予備費は国会のチェックが不十分になるため、従来、多額の計上は控えられてきた。コロナの緊急性や実効性を重視した判断だろうが、無駄遣いの温床ともなりかねず、さらなる検証が必要だ。

 全てを不適切と切り捨てるわけにはいかない。とはいえ、財政規律が緩む中、無責任な「お役所仕事」で貴重な公金が浪費されたのは残念と言うほかない。国民から預かった税金を適正、効率的に使うという基本をいま一度肝に銘じてもらいたい。