脳の活動状態を画像で表すfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)のデータについて、施設間で生じていた差異を低減する手法を、関西文化学術研究都市の国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)の山下歩研究員、広島大などのグループが開発した。複数施設で得られた多数の脳画像を統一的に解析することで、うつ病や自閉症など精神疾患の診断や治療に役立つ知見が得られるという。米国のオンライン科学誌で19日に発表する。

 患者と一般人の脳画像データを人工知能(AI)が解析し、疾患ごとに特有の脳の状態を調べる研究が進んでいる。しかし、装置の違いや被験者集団の構成などによってデータに差異が生じ、疾患特有の脳の状態が施設で異なる結果になるなど、実際の診断に役立てられなかった。

 研究は、被験者9人が東京や京都、広島などの12医療施設を訪れて脳画像を撮像した。施設ごとの差異の傾向を調べたところ、撮影法や機種の違いなどが大きく影響していた。影響を軽減させるデータ処理をすると、施設間の差異が3割ほど低減され、疾患の特性を評価できるレベルのデータになった。

 本人が同意した1800人超の脳画像がデータ処理され、データベースで公開された。ATR認知機構研究所の今水寛所長は「精神疾患はさまざまな症候が重なったもの。患者の脳の状態を把握することで、医師がより正確な診断や適切な治療をできる。医療に役立てたい」と話している。