京都大学

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 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った免疫細胞「NK(ナチュラルキラー)細胞」を卵巣がんの患者に移植する治験を始めたと、京都大iPS細胞研究所などのチームが11日発表した。安全性を確認することが主な目的。既に1人目の移植を終え、現時点で重い副作用などは確認されていないとしている。

 治験では、拒絶反応が起きにくい健康な人の血液からiPS細胞を作製。特定のがんを攻撃するよう遺伝子改変を加えたうえでNK細胞に変化させ、がん患者に移植する。2024年3月までに6~18人に実施する計画で、いずれも重症化して手術や抗がん剤などの効果が見られない卵巣がん患者が対象。

 1人目の患者は50代女性で、今年9月、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)でこのNK細胞を3回にわたって体内に移植した。容体は安定しており既に退院したという。今後、経過観察の中で移植した細胞に異常が生じないかや、がんの範囲の変化などを確かめる。

 京大iPS細胞研究所の金子新教授は「(今回の)iPS細胞を使うことで移植後の拒絶反応が少なく、多くの人に安定的に供給することができる。安全性と有効性を確認し、治療法として患者に提供したい」と話している。

 iPS細胞を使ったがん治療は、千葉大などのチームが別の免疫細胞での治験を進めている。