京都府警本部

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 マッチングアプリで知り合った女性をネットワークビジネスの会員に違法勧誘したとして、京都府警は11日、特定商取引法違反(連鎖販売取引の禁止行為)の疑いで、京都府教育委員会職員の男(26)と自称自営業の女(38)を逮捕した。アプリで知り合った人から投資や商品の購入などを持ち掛けられる問題は、近年相次いでいる。実際にアプリで知り合った女性からネットワークビジネスに勧誘された男性(27)が、京都新聞社の取材に応じた。

 「恋愛としての出会いを求めていたのに裏切られた気分」。マッチングアプリで知り合った女性からネットワークビジネスの勧誘を受けた京都府在住の男性会社員は、苦々しげに振り返る。

 アプリを通じて同い年の女性とやりとりを始めたのは昨年6月。直接会って、食事に行くなど親交を深めた。ところが昨年秋ごろ、女性から突然、同ビジネスの販売会員にならないかと切り出され、収益を得る仕組みや「会員になると幸せになれる」といった説明を30分以上聞かされた。

 男性は相手を恋愛対象と見ることができずに連絡を絶ったといい、「ビジネス目的の人がいて驚いた。(女性とは)話が合い、一緒にいると楽しかったのに」と肩を落とした。

 出会いの場として同アプリの認知度が高まる中、利用者の恋愛感情につけ込まれた形だ。専門家は「アプリは会うことを前提にした仕組みで狙われやすい」と指摘する。

 京都府消費生活安全センターによると、マッチングアプリなどを悪用した金銭トラブルに関する府内の相談は2020年度に182件あり、前年度から6割以上増えた。暗号資産(仮想通貨)などを扱った投資被害が多いという。

 国内最大規模のマッチングアプリ「ペアーズ」は、累計の登録者数が今年6月時点で1500万人を超えた。新型コロナウイルス禍で対面での出会いが減った若者を中心に、ここ2年ほどで利用が拡大した。

 多くのマッチングアプリ運営会社は恋愛目的以外の勧誘を利用規約で禁止しているが、被害相談は後を絶たないとされる。ITジャーナリストで成蹊大客員教授の高橋暁子氏は「利用者は相手が信頼できると確信するまではアプリ内でのやりとりにとどめて、連絡先など個人情報を安易に教えない方がいい」と呼び掛け、運営会社が相談窓口の設置などの対策強化を進めるべきと強調した。