上方歌舞伎の中でも、物語のアホらしさや下座(げざ)音楽の陽気さで群を抜く演目「雁(かり)のたより」は、昨年11月に亡くなった京都出身の坂田藤十郎=人間国宝=をはじめ、上方の味をたっぷり身につけた役者でないと演じてこなかった。にじみ出るおかしみ、せりふ回しの柔らかさ…まさに上方役者の愛嬌(あいきょう)や風情で魅する和事芸(わごとげい)だった。今年の京都・南座の顔見世(12月2~23日)では、初めて東京の役者・松本幸四郎(48)が主演に挑む。心境を聞いた。=敬称略