人からおカネを引き出す天才といえば、落語「真田小僧」の少年をおいてほかにいまい。小遣いを渡したくない父親に対しては、母親の不倫をほのめかして、情報料をもらう▼その手際が鮮やかである。話が佳境に差し掛かったところで、「こっから先、聞きたい?」と追加を促す。古今亭志ん朝師匠の口演で「金坊」と呼ばれるのも、うなずける▼紅葉シーズンを迎えた「観光京都」も負けてはいない。社寺を巡ると、その一つ一つに拝観料が要り、小額も積もれば大枚となる。一部の秘宝展示などは、別料金である▼「古都の風情を守る」「観光公害に対処する」といっては、消費増税で気の立つ宿泊客の支払いに、税を上乗せする。よい根性をしていると、褒められるのではないか▼ただ、無断撮影には「1万円申し受けます」との高札が祇園にあり、京都府立植物園の商業撮影は有料で、高額となっては、事情をよく知らない人に、あこぎと誤解されないか心配だ。江戸時代の戯作(げさく)者滝沢馬琴には、京のあしきものは人々の「吝嗇(りんしょく)」な性格とされた▼観光客らに説明し、理解してもらうことが大切だ。武将真田幸村の逸話まで持ち出して、さらに「六文銭」をせしめる金坊の説得力を学びたい。「神対応」までいかなくとも、「鬼に金坊」にはなりそうだ。