東日本大震災からの復興を巡り、政府は復興庁の設置期限を10年延長し、2031年3月末まで現体制のままでの存続を決めた。

 東京電力福島第1原発事故の対応が遅れているためで、有識者らで構成する復興推進委員会に基本方針を示した。

 いまだに原発事故に伴う避難指示区域が残り、約5万人が避難を強いられている。廃炉には30~40年を要する。大津波や地震被害の復興事業も完了していない。被災地の現状をみれば、復興庁の存続は当然であろう。

 復興庁は一刻も早い復興を目指し、首相直属の20年度までの時限組織として発足。復興政策を統括し、被災地を支援してきた。地震・津波の被災地では復興に一定のめどが立ち、支援継続を5年間とするものの、復興庁は現状通りに専任大臣を置き、存続させる。

 政府は当初の復興期間10年のうち前半5年を「集中復興期間」、16年度以降は「復興・創生期間」とし、福島、宮城、岩手などで手厚い復興支援に取り組んできた。

 確かに堤防や住宅整備など復興事業は進んだ。とはいえ地域間でばらつきがあり、復興は道半ばだ。一方、震災で加速した人口流出が深刻化している。引き続き財政的、人的な支援が必要なことはいうまでもない。

 とりわけ原発事故対応は遅れが目立つ。廃炉・汚染水対策や住民の帰還に向けた環境整備、除染土の中間貯蔵施設建設など、今も解決できていない課題は多い。

 復興庁は復興行政の「司令塔」になるはずだった。だが現状をみると、業務は交付金の配分や自治体との調整にとどまり、職員は各省庁からの出向、担当相も短期間で交代しがちだ。再出発に当たり、役割を十分に果たしてきたといえるのか、なぜ復興の遅滞を招いたのか、検証が欠かせない。

 さらに、全国知事会が提唱する「防災省」創設など、災害大国としてのビジョンや危機感が抜け落ちていまいか。災害多発時代に入った今、大震災から得た多くの教訓を生かした本格的な防災・復興組織が必要だ。災害対応から復旧、復興まで一元的に担い、防災強化の司令塔となる組織への拡充が求められており、現状維持にとどめるのは残念というほかない。

 復興特別会計など財政上の枠組みは維持されるが、厳しい財政状況の中、真の復興につながる事業を重点に推進する工夫が欠かせない。復興庁には現場のニーズをきめ細かくくみ取り、復興政策に反映させてもらいたい。