地球温暖化防止へ、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える必要がある―とする世界の目標が明確になった意義は大きい。

 英国で開かれていた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で努力目標だった「1・5度」達成への「努力を追求すると決意する」とした成果文書を採択し、閉幕した。

 人類共通の喫緊の課題である温室効果ガス排出削減のための具体的な行動に、国際社会が協調して踏み出せるかが問われている。

 パリ協定は「気温上昇を2度未満に保ち、できれば1・5度に抑える」との目標を掲げていたが、豪雨や森林火災など異常気象が原因とみられる災害が頻発する中、「2度未満」では不十分だとする見方が強まっていた。

 だが、現状では1・5度以内に抑えるのは難しい。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は8月、このまま化石燃料を使い続ければ、20年以内に1・5度を超える可能性が高いと警告した。

 これを避けるには、排出量を2010年比で45%減らす必要があるが、現在の削減目標では30年に13・7%増になるとされる。

 こうした状況から、成果文書は「この重要な10年間」に行動を加速することが必要と強調、22年末までに30年の削減目標を再検討し、強化するよう要請した。

 気がかりなのは、要請に「必要に応じて」との文言が付いたことだ。

 焦点だった石炭火力についても、当初は「段階的廃止」とされたのが、会議の最終盤にインドなどが反発し、「段階的削減」に表現が弱められた。

 COPの文書で特定のエネルギー源の扱いに触れるのは異例だ。各国は今後、脱石炭への具体的な道筋を描かねばならない。

 会議では、先進国から発展途上国に対して20年までに年間1千億ドル(約11兆円)を提供するとの目標が達成できていないことに、「深い遺憾の意」が示された。先進国による資金や技術の支援をさらに進めることが欠かせない。

 日本は、温室効果ガスの削減目標を13年度比で26%から46%に引き上げているが、石炭火力は今後も続ける方針だ。多くの国が脱石炭にかじを切る中、国際潮流に背を向ける姿勢を印象づけた。

 1・5度抑制に向け、エネルギー政策の在り方が根本から問われることになる。