映画「記憶」を監督した思いを語る中村すえこさん(京都市上京区・同志社大)

映画「記憶」を監督した思いを語る中村すえこさん(京都市上京区・同志社大)

 女子少年院で過ごした自らの経験から、出院した少女らの支援に取り組む中村すえこさんが監督した映画「記憶~少年院の少女たちの未来への軌跡」の上映が10日、同志社大寒梅館(京都市上京区)であった。中村さんは上映後に登壇し、「少年院で少女たちが変わっても、戻ると社会が変わっていない。地元ではついて回る。社会が変わらなければ」と呼びかけた。

 中村さんは中学生で暴走族の総長になり、傷害事件で逮捕され、少年院に入った。

 その後立ち直り、少年院出身者を支援する団体「セカンドチャンス!」で活動。全国に9カ所ある女子少年院などで講話を続けている。映画「記憶」は法務省の協力を得て撮影され、少年院の少女4人の声と沈黙、抱える複雑な親子関係や事情、出院後の孤立や居場所探し、少年院内での矯正教育の実態などを追った作品。上映会は京都府更生保護女性連盟と京都わかくさねっとが主催した。

 上映後に登壇した中村さんは、志藤修史大谷大教授と対談。「記憶というタイトルにしたのは、インタビューした少女たちに過去を聞くしかないけれども、記憶に立ち直りにつながるものが、そこにあると思うから」と話した。

 また少年院の少女たちの語りに何度も「お母さん」という言葉が出たことについて「お母さんと向き合う、切っていかねばという部分があると思う。私自身は立ち直りに母が向き合ってくれた。お母さんがいないならどうすればいいのか、私には答えがない。映画を観て考えてもらえたら」と答えた。

 また「わたしは中学にほとんど行ってないけれど、私の分の給食を先生が取っておいてくれた。居場所があると思えた。社会が変わらなければ。ちょっとしたことで変わるんです」と、変わろうともがく少年少女のためにできることを、会場に問いかけた。

 自助グループであるNPO法人「セカンドチャンス!」は京都でも活動。少年院出身の当事者たちが「セカンドチャンス!京都」交流会を1~2カ月に1回程度開いている。詳しくはホームページで。