京都市役所

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 京都市の児童養護施設で起きた性的虐待事件を内部告発するため、児童に関する相談記録を持ち出した男性職員(50)が市から懲戒処分を受け、その後最高裁で処分が取り消された問題で、市は16日、損害賠償を求めていた男性職員と和解し、解決金として120万円を支払う方針を明らかにした。24日開会の11月議会に関連議案を提出する。

 男性職員は児童相談所に勤務していた2015年、左京区の児童養護施設で起きた性的虐待事件に関する相談が放置されているとして、市の公益通報窓口に通報した。その際、相談記録を自宅に持ち出したなどとして同年12月、市から停職3日の懲戒処分を受けた。その後、市こころの健康増進センターなどへの異動を命じられた。

 男性職員は19年5月、違法な懲戒処分と人事異動によって精神的、経済的損害を受けたとして、市に約399万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。記録の持ち出しは不正をただすことが目的で、人事異動は「懲戒処分と重ねて行った懲罰・報復人事だ」と主張していた。

 男性職員は市に懲戒処分の取り消しを求める訴訟も起こし、一審京都地裁と二審大阪高裁の両判決は、記録の持ち出しには公益通報などの目的があったと認め、処分は「違法」と判断した。今年1月には最高裁が市の上告を退けた。

 市は敗訴後も損害賠償を巡る訴訟で「懲戒処分や人事異動に際し、通常の注意義務は尽くしており、賠償責任は生じない」と主張していたが、7月に京都地裁から和解勧告を受け、男性職員に解決金120万円を支払うことで同意した。

 市コンプライアンス推進室は和解理由として、男性職員が処分の取り消し訴訟の弁護士費用として約160万円を支出していることなどを挙げ、「弁護士費用は違法な懲戒処分がなければ発生しなかった。本市にも一定責任があると考えた」としている。

 市は内規で50万円以上の支出を伴う和解は議会の議決が必要と定めている。可決されれば、12月下旬にも正式和解する見通し。男性職員は「和解後に開く記者会見でコメントさせていただきたい」としている。