大方の事前予測を超える大幅な落ち込みである。

 2021年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0・8%減となった。

 年初の1~3月期以来、2四半期ぶりのマイナス成長で、このペースで年率換算すると、3・0%減にもなる。

 新型コロナウイルス禍で続いた緊急事態宣言と、世界的な半導体不足などに伴う自動車の減産が大きく響いた。

 政府が掲げてきた「年内にコロナ禍前の水準を回復」という見通し達成は極めて困難な状況だ。

 先行して経済回復を進め、プラス成長を確保する米欧、中国に比べ、日本経済の立ち遅れが際だっている。いかに回復軌道に乗せていくかが問われる。

 落ち込みの主な要因は、GDPのほぼ半分を占める個人消費が同1・1%減と再び沈んだことだ。

 夏のデルタ株の「感染爆発」で京滋を含め広範囲の緊急事態宣言が9月末まで長引き、飲食、宿泊などが不振だった。東京五輪・パラリンピックもほぼ無観客開催で押し上げ効果は見られなかった。

 追い打ちとなったのが自動車の減産だ。半導体不足など部材供給網の混乱で生産が停滞し、個人向け耐久財の消費と輸出の減少に加え、企業が商用車を購入できなかったことで設備投資も押し下げるという指標の「総崩れ」を招いた。自動車産業の裾野の広さを改めて浮き彫りにしたといえる。

 足元の10~12月期は、感染者の減少とワクチン接種の進展から経済活動の制限緩和が進み、外食、旅行などの需要持ち直しが見えつつある。局面が転換し、我慢続きでため込まれたお金を使う「リベンジ消費」による押し上げも期待されている。

 ただ、新たな景気リスクも浮上している。原油や原材料の価格が高騰し、円安も重なって商品・サービスの値上がりが家計や企業活動の冷や水となる恐れがある。

 政府は今週末にも、財政支出で40兆円超の経済対策を決定する。柱となる子ども対象の10万円相当給付などは一過性で、消費回復への持続的効果は見込みにくい。

 今後の感染「第6波」への消費者の警戒心が根強い上、世界での供給網混乱の長期化や米中経済が減速するリスクもある。

 「ウィズコロナ」時代を見据え、政府が掲げる賃上げや中間層拡大策で内需主導を強化し、積極的なデジタル投資や新産業育成などで日本経済の足腰を強くすることが求められよう。