1月の米新政権発足後、米中両国の首脳が「顔合わせ」をするのは初めてだという。

 バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が会談した。

 これまでに電話の会話は2回あったが、今回は対面の直接会談に準ずるオンライン形式となった。新型コロナウイルスの影響を考慮すれば、致し方あるまい。

 会談は、休憩を挟んで3時間以上に及んだ。

 しかし、共同声明など具体的な合意文書は得られなかった。誠に残念なことである。

 バイデン米政権は、経済成長と軍備増強を続ける中国を「唯一の競争相手」とみなす。中国は、米国主導の国際秩序に強く反発している。

 これでは、首脳同士が話し合ったとしても、大きな成果は望めないはずだ。

 会談が実現したのは、双方に事情があったとみられる。

 今月の米世論調査によると、バイデン氏の支持率は41%で、6月末の50%から大きく下落した。

 アフガニスタンから米軍が撤退する際の不手際や、コロナ対策、物価急上昇に、国民の不満が募っている。来年の中間選挙に向け、失地回復を図りたい。

 習氏は、来年の北京冬季五輪を何としてでも成功させ、来秋に予定される中国共産党大会で、慣習を破って3期目のトップとなるつもりだとされる。

 これ以上、対立が激化し、欧米の五輪ボイコットなどを招くのは避けたいはずだ。

 両氏とも、この時期に、対外的な成果を上げておきたいところではある。

 とはいえ、利害が一致する気候変動対策を除き、安全保障、通商、人権などの分野で、意見の隔たりはあまりにも大きい。

 こうした中、会談でバイデン氏は「両首脳には競争がいかなる衝突に発展するのも回避する責任がある」と、不慮の米中衝突を避ける「ガードレール」の必要性を強調した。

 習氏も、「健全で安定した関係が必要」「両国は互いを尊重し、平和的に共存、協力するべき」と応じた。

 有事も想定される台湾で、米国の関与と、中国の軍事圧力が強まり、緊張が高まる一方の現状を意識した発言であろう。

 今回、両首脳の主張はほとんど平行線をたどった。だが、これを契機に一定の信頼関係を築いて話し合いを続け、力による衝突だけは回避してもらいたい。