犯罪に巻き込まれて命を奪われたり、大けがを負ったりした被害者、遺族に給付金を支給する制度ができて、今年で40年になる。

 支援の法的な整備が進み、民間の支援活動も広がっている。しかし、まだ課題は多い。被害者に必要な支援は届いているだろうか。

 25日から「犯罪被害者週間」が始まる。だれもが被害者になり得ることを思い浮かべ、被害者が平穏な生活を取り戻すために何ができるか考えたい。

 「(相談の)パンフレットだけではわからない」「一時金を速やかに貸し付ける制度を」「病院の付き添いを」「育児の支援がほしい」

 被害者や支援者、学識者からなる「被害者が創る条例研究会」が2013年に集めた被害者たちの声だ。
 04年に犯罪被害者等基本法が成立し、自治体に支援策を講じるよう求めた。当時、被害者には十分に届いていなかったことがうかがえる。

 犯罪被害者等給付金や見舞金などの支給に重点が置かれていたこともあるだろう。

 基本法を受けて自治体がつくったのが、支援を目的にした特化条例だ。先の条例研究会が被害者の声を基にモデルとなる条例案を提示し、制定する自治体が増えてきたという。

 見舞金給付だけでなく、住居や医療、生活資金、子育てなどへの支援が、条例の中に取り入れられている。

 中でも注目されているのが横浜市の特化条例だ。家事や介護のヘルパー利用費、子どもの一時保育費、転居費の助成、緊急避難場所の提供もしている。

 心のケアにも目が向けられ、京都市では被害者の専門外来を設置している。兵庫県明石市は、加害者の損害賠償額を受け取るのが困難な状況を踏まえ、立て替えて支給している。

 ただ、こうした特化条例を定めているのは、384市区町村と全体の2割で、8政令指定都市、32都道府県にとどまる(警察庁調べ、4月1日現在)。

 京都府内では全市町村にあるが、府はつくっていない。犯罪のないまちづくりを掲げる条例の中で「必要な支援を行うよう努める」としている。

 全国犯罪被害者支援ネットワーク監事の川本哲郎元同志社大教授は「条例に必要な支援を具体的に明示することが重要だ」と話す。被害者にとって支援メニューが示されているのは心強いに違いない。

 さらに特化条例が広がっていく必要がある。多くの被害者が出た場合、居住地で支援に違いが生じかねないからだ。

 被害者が必要な時に支援が届かなければ何にもならない。大阪府では、被害発生直後に警察と早期援助団体が対応、さらに府や市町村も加わった「被害者支援調整会議」で途切れず支援していく仕組みができているという。

 給付制度から基本法、特化条例へと枠組みはできたが、それを生かすには支援に通じた人材を増やしていく必要があるだろう。

 支援はいつでも、どこでも届かなければいけない。被害者にもっと目を向けたい。