高齢ドライバーによる痛ましい事故がまた起きた。

 大阪府大阪狭山市のスーパー前で89歳の男性が運転する乗用車が暴走し、男女3人が巻き込まれて死傷した。アクセルとブレーキを踏み間違えたとみられる。

 同様の事故では2019年4月に東京・池袋で母子2人が死亡するなどした惨事が記憶に新しい。

 運転免許返納の機運が高まり、同年は前年比1・4倍の約60万件、昨年も約55万件に上った。

 今回の運転者も年齢による不安を口にしていたという。

 悲劇を繰り返さないためにも、高齢のドライバーは「まだ大丈夫」と過信せず、自分の運転能力を謙虚に見直してほしい。家族や周囲の助言も大切だ。

 警察庁によると、昨年の75歳以上の免許保有者は約590万人で前年より約7万8千人増加した。

 75歳以上の自動車運転者による死亡事故は、今年1~6月に143件発生した。ハンドルの操作ミスやブレーキとアクセルの踏み間違いといった「操作不適」が要因の35・7%を占めた。75歳未満の割合の2・5倍になる。

 こうした状況から、改正道交法が来年5月に施行される予定だ。

 75歳以上を対象に、免許更新通知が届いた時点から過去3年間に信号無視や逆走などの11種類のうち一つでも違反がある人には運転技能検査を義務付ける。

 対象者は教習所などで実際に車を運転して検査を受ける。不合格の場合は更新できない。

 現行の認知機能検査に加え、より踏み込んだ対応になるが、人命に関わるだけにやむを得ない。運転技能のレベルや衰えをきちんと評価することが重要となる。改正点を周知し、的確に運用していくことが不可欠だ。

 操作ミスなど交通事故を起こしにくい車両の普及も急がれる。

 改正道交法では、自動ブレーキや急発進抑制装置などが搭載された「安全運転サポート車」に限定した免許もできる見通しだ。

 運転継続を希望する高齢者にとっては選択肢が増える。事故の軽減につながるよう、装置の基準を整備し、効果を検証してほしい。

 免許を返納した人への生活支援はますます必要になる。

 鉄道やバス、タクシーの乗車券を補助する自治体もあるが、公共交通機関の維持も厳しくなっている。地方では住民同士の送迎サービスを模索する動きもある。

 高齢化や人口減少を見越して、知恵を絞っていかねばならない。