京都府立植物園(京都市左京区)を含む北山エリア整備基本計画を巡り、住民や専門家が反対の姿勢を強めている。

 植物園に新たな商業施設や出入り口を設けるとする府の計画に関し、植物園の機能が損なわれるなどとして見直しを求めている。今月上旬の住民説明会でも反対や疑問の声が上がった。

 府は植物園の再整備は、新設の有識者懇話会で具体的な整備内容を検討するとしている。推進する方向性は崩していない。

 何のための再整備か、植物園を含めエリア全体がどう変わるのか-。府の計画には分かりにくい部分がある。

 懇談会では、植物園の役割をよく検討し、府民の意向もふまえた丁寧な議論をしてほしい。府も住民の懸念に真摯(しんし)に応え、説明を尽くすべきだ。

 基本計画は、植物園に隣接する北山通や鴨川に沿ってカフェやレストランなどの集客施設が立ち並ぶ姿を描く。

 園内に人の流れを誘い込もうとの意図が透ける。2024年の開園100周年に向けた構想の一環だ。

 この計画については、希少種や育成中の植物などを管理するバックヤード(約2ヘクタール)が縮小され、園内の樹木が伐採されるのではないかと危ぶむ全国の園芸・植物園関係者や住民らが、それぞれ見直しを求める団体を発足させ、これまでに10万筆の署名を集めたという。

 同園の元園長らも、にぎわいや人の流れをつくろうとする計画に「本来の植物園の姿からかけ離れている」と指摘した。

 日本初の公立総合植物園として、現在も国内外の植物約1万数千種を栽培・育成している役割を、多くの住民が評価していることを示した形だ。

 これに対して、府はバックヤードを縮小しないとの方針に転換した。

 ただ、「園の心臓部」と専門家が指摘するバックヤードの機能が十分に維持されるかどうかは依然、不透明さが残る。

 西脇隆俊知事は「地域住民の意見も必要」としながら「貴重な府民財産なので(府全域の)府民に一定の理解を得る必要もある」とするが、府民の意見をどのように集約するのかを明確にしているわけではない。

 気になるのは、府が再整備の現状について「何も決まっていない」と繰り返している点だ。

 再整備の方向性を打ち出しながら構想はあくまでイメージだと言い、懇話会に議論を丸投げしているようにもみえる。

 その懇話会は年度内にも提言をまとめるという。十分な審議時間を確保できるだろうか。

 住民説明会では基本計画の対象となっている府立大や府立総合資料館跡地など北山エリア約38ヘクタールの整備に関しても、大規模開発の必要性を問う声や、静かで文化的な環境の維持を望む声が出た。エリアの全体像についても、詰めなければならない課題は多いのではないか。

 住民らの懸念にしっかりと応え、整備の全体像を具体的に説明できるかどうかが府に問われている。