アートでつながる社会

西生てる子「タイトルなし」=2021年度共生の芸術祭「旅にでること、その準備」より

障害のあるなしを超えて

 芸術を通じて多様性や共生社会について考える催し「『CONNECT(コネクト)⇄_』つながる・つづく・ひろがる」が2日から、京都市左京区の岡崎地域を中心に開かれている。触れて鑑賞できる作品や障害者の創作の現状を探るトーク映像などが披露される。

 障害者週間(3~9日)に合わせて開催。催し名は「つながり(CONNECT)と双方向を意味する「⇄」を組み合わせた。昨年に続き2回目の今年は、中京区の2会場も加え規模を拡大した。

 京都国立近代美術館では1階ロビーの壁面に、アーティスト竹村京(けい)さんの横幅8・4メートル、高さ3・6メートルの巨大な作品を展示。写真の上に刺しゅうを施したオーガンジーを重ね、失われた記憶や壊れたものの再構築に思いを巡らせてもらう内容になっている。刺しゅうを使った立体作品も並べ、一部の作品は触れるなど視覚を使わずに鑑賞できるようにする。

竹村京「修復されたK.K.のORIGOの皿」2021年
竹村京「修復された地球儀の貯金箱」2002年-現在

 京都市京セラ美術館は中庭「光の広間」で、美術家の中原浩大さんが精神や発達に障害がある人の創作について専門家と話し合うトーク映像を公開。中原さんや専門家の音声と、内容を伝える手話を通じて、障害がある人たちの表現について考える。より詳しい動画もインターネット上に公開する。

 京都府立図書館は江戸時代の全盲の国学者、塙保己一(はなわほきいち)が編さんした双書「群書類従」に関わる史料を展示。実物と同様、桜の木を使った版木のレプリカや映像で保己一の業績を紹介する。同館が岡崎の地にできた明治末ごろ、実際に使っていた家具とともに、現代美術家の宮永愛子さんの作品展示も行う。

「群書類従」版木のレプリカ
建築家、武田五一が設計したされる両そで机。武田は1909年に現在地に完成した京都府立図書館旧館を設計した

 2日からインターネット上で公開される美術作家のやなぎみわさん、京都市立芸術大の赤松玉女学長、市京セラ美術館の青木淳館長による鼎(てい)談では、それぞれの立場から文化と共生について発信する。

 ほかにも京都府内外の障害のある人の作品を紹介する「共生の芸術祭」や公募展「京都とっておきの芸術祭」、府内4会場を巡回する作品展「CONNECT-EXPAND」も開かれる。

上嶋浩綺「萌花共和国地図」=2021年度共生の芸術祭「旅にでること、その準備」より
松原日光「軽飛行機」=2021年度共生の芸術祭「旅にでること、その準備」より
井口直人「無題」=2021年度共生の芸術祭「旅にでること、その準備」より


■概要
【会期】12月2日(木)~19日(日)
【会場】京都市左京区岡崎地域と中京区烏丸通周辺の各文化施設
【主催】文化庁、京都国立近代美術館
【共催】京都府、京都市、京都新聞

■主な催しと会場=番号は地図に対応
 いずれも無料。月曜と12月27日~1月3日休み。ワークショップや上映会は事前申し込みが必要。すでに締め切られている場合があります。詳しくは公式ウェブサイト(https://connect-art.jp/)参照。

◇身体感覚で楽しむプログラム「竹村京 Floating on the River」 12月2日~1月16日 ワークショップ11日(京都国立近代美術館(1))
◇トーク映像展示「実はよく知らないんだよ。だから聞いてみようと思う。(中原)」 12月3日~9日(京都市京セラ美術館(2))
◇第27回京都とっておきの芸術祭 12月2日~5日(京都市勧業館みやこめっせ(7))
◇2021年度 共生の芸術祭「旅にでること、その準備」 12月9日~26日(京都市美術館別館(3))
◇おどろきの「群書類従」! 11月30日~12月19日(京都府立図書館(6))
◇障害者スポーツ関連展示~京都からパリ2024パラリンピックへとつながる~ 12月14日~19日(京都市国際交流会館(8))
◇ドキュメンタリー映像上映&トーク ダンサーによるワークショップ 12月4、5日(ロームシアター京都(4))
◇Ontennaで感じる、動物たちのこえ・いろ・かたち2021 11月30日~12月19日、ワークショップ12月4、5日(京都市動物園(5))
◇アニメ映画を一緒に楽しもう―ユニバーサル上映 「どんぐりの家」12月4日 「聲の形」5日(京都文化博物館(9))
◇ワークショップシリーズ「ひろがる世界」 「Chorós」12月2、3、5日 「音でつくる映像」14、15日(京都芸術センター(10))